なぜマネジメントが壁に突き当たるのか

2004/09/04(Sat) Book

なぜマネジメントが壁に突き当たるのか

なぜマネジメントが壁に突き当たるのか(田坂広志著)

社内では、「論客」や「切れ者」という評価の高い若手社員が、あるプロジェクトの企画案を、関係各部署に提案しています。

この若手社員は、極めて「論理的」に、なぜ、そのプロジェクトを実施すべきかを説明しているのですが、なぜか、会議の雰囲気は重いのです。

(中略)

では、こうした熟練のマネージャーは、いったい何を批判しているのでしょうか?

実は、彼らは、若手社員の語る「論理」そのものを批判しているのではありません。彼らは、若手社員の持つ「論理で割り切れるという姿勢」を批判しているのです。

すなわち、現場経験の豊かな熟練のマネージャーは、体験的に知っているのです。「論理で割り切れる」という姿勢でプロジェクトを進めていくと、必ず、見落としてしまう「大切な何か」があるということを。

さて、こうした熟練のマネージャーの抱いている感覚を、敢えて言葉にするならば、「企業とは生き物である」といった感覚なのではないでしょうか。少し難しい表現を使えば、「企業とは、単純な論理では理解することが出来ない複雑な生命体である」といった感覚です。このことを、分かりやすい例を挙げて説明しましょう。

例えば、「魚の解剖」を考えてみるとよく理解できます。我々は、子供の頃の理科実験で行ったように、魚をメスで解剖して五臓六腑に腑分けし、骨や内臓や神経などを詳しく調べ、魚というものの「仕組み」を整然と理解することは出来ます。

しかし、こうして腑分けして整然と理解した結果、失われてしまう「大切なもの」があることに気づくのではないでしょうか。それは何でしょうか?

魚の「生命(いのち)」です。

なぜならば、こうして腑分けした魚をもう一度ぬいあわせてもとの形に戻してみても、もはや失われた「生命(いのち)」は戻ってこないからです。

僕はただ、魚を解剖して楽しんでいただけなのかもしれない。じゃあ、今目の前にあるものは何なんだ。ばかたれ。あほたれ。あーでも、そうでもないかも。


2 Responses

  1. Toshiya Shiraishi says:

    現在この本の全文が日経 BP のメルマガに転載されていて(もちろん許諾のうえで)、さらに、各回のバックナンバがサイトで公開されています。

    http://events.nikkeibp.co.jp/skillupmail/

    こんな含蓄のある文章がただで読めて幸せです。

  2. iwagoro says:

    >Toshiya Shiraishi
    そう、僕もそれを読んで、本を買ってしまったのです。
    たまたま開いたページにこの文章が書いてあって、早く全文読みたい今日この頃。

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