医学は科学ではない

2006/05/15(Mon) Book

医学は科学ではない 表紙
医学は科学ではない
米山 公啓 (著)

-1,000人にひとり効果があっても無効なのか-

医者がEBM(実証に基づく・効果があるとデータで証明されている医療)をしようとしても患者が拒む場合がある。1,000人に一人しか効果がない薬は新薬として世に出ない。それぞれの医学部のトップが決めている治療を優先的に提示する事がある。在庫がもう少しではける薬を優先的に勧めたりする。

医者は全てを実証データに基づいた方針で治療しているのではないと、一つ一つの実例を示しながら切々と説いていく。人が行い、医者もそれで生活をしているのだから、ある程度はこういう事があるんだろうなと思っていたが、少しだけ想像以上だった。(99.9%は仮説と似たような読後感だった。)

病気は病原菌とその人の遺伝子の組み合わせで起こるもの。だからその病原菌が何であるかを特定し、その病原菌にどういうものが「効きやすいか」を傾向値として出す事は出来るものの、その病原菌と遺伝子が織りなす反応は全て一人一人で違う。。。これを知ったら医学の不確実性をなんとなく納得する事が出来た。

遺伝子による不確実性、医者の腕による不確実性、政治・組織力学による不確実性。正直言って知らない方がラクに医者にかかれたかも知れないが、この状況を何とかするにはこれらの状況を一度全て飲み込まないといけない。医者も患者ものこの状況を全て飲み込めば、少しは昨日よりいい医療になるのではないか。漠然とですがそう思いました。

個人的には、何かあっても何もこれ以上何も治療も延命もせず、そのままで起こる結果に従いたいと思っているけれど、不思議なもので家族に対してはそんな事は思えない。少しでも長く健康で生きて欲しいと思う。そんな時、頭ではこの本で読んだ事が分かっていても、決して納得できるものではないだろうなと切に感じた。


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