神はサイコロを振らない
2006/09/17(Sun) Book
-もしこの奇跡が、この世に何かの幸いをもたらすとしたら、
彼のような、あの事故で人生を狂わされた者への福音であるべきだと思った。-
テレビドラマは見てないですが、10年の時を越えて行方不明になった飛行機が再び現れるという設定以外は、キャラクタも再び消えてしまうまでのリミットも、だいぶ違うみたいですね。登場人物の多さのわりに一人一人の描写が少ないことや、その割に本筋とあまり関係しないエピソードが多いことへの不評がネットでは多かったですが、僕は結構いい本だと思ってます。
10年の時を越えて帰ってきたフライトアテンダントの葛城が、自分のことを好きだという黛を好きになれない理由、また葛城の母がその彼のことを良く言う理由が、父に似ているからであろうと気づいたときと、その後の選択。10年後の未来は、当時描いていた理想とあまりにも遠くかけ離れた現実であったと知った後藤。事故で一人息子を失い大きく人生が狂った黒木とその妻。
行方不明になった飛行機に搭乗していた人たちは抱いていた理想とその10年後の現実のギャップに、事故で家族や親を失った関係者はその失った生活に、それぞれとまどい、選ぶ様々な道。僕らが一日一日という積み重ねの中で感じ・選択しているそれを、10年と3日という時間の中に凝縮した物語。そんなふうに僕は読みました。
最後の選択はいまいち腑に落ちませんでしたが、また後日読むと違った風に感じるのかもしれません。

