貝と羊の中国人

2006/09/30(Sat) Book

貝と羊の中国人 表紙
貝と羊の中国人
加藤 徹 (著)

ポッドキャストで聞いている伊藤洋一のRound Up World Now !で紹介されていた本。 財、貨、賭、買などの貝のつく漢字と、義、美、善、養などの羊のつく漢字から、中国人の深層がかいま見えるという本。「日本人は勤勉だ」とかいう評には、当然そうでない人もその通りの人もいて、あまり意味をなさない。この本で書かれているのは、どちらかというと文化や歴史面からの分析。

たとえば、日本語は「かゆい」と「くすぐったい」を区別するが、中国語は両者を「痒(ヤン)」の一言で示す。また、「冷たい」と「寒い」を区別せず「冷(ラン)」で済ませる。逆に、日本では「三日(みっか)」という言葉で日付を表す「六月の三日」という意味と、期間を表す「三日間」というふたつの意味を表現するが、中国語では日付は「三日(サンリー)」、期間は「三天(サンティェン)」と区別する。商業や政治、軍事などの面でもまれてきた中国語は「外向性」に富む言語であり、島国で攻め込まれることもなく同じ民族が生活している日本は互いの内面などの「内向性」に富む言語。その言語を用いて行われる会話は、考え方にも少なからず影響を及ぼすと説く。

こういった文化的な事や、一つの王朝が300年以上統治したことがなかった事、軍事的な面では必ずしも利点ばかりではない広大な国土とそこから発生する隣接国の多さにより遅れていた内部統治が、ソ連の自滅などによりようやく行われるようになってきた現状などを解説することで、逆に日本の特性も深く理解することができた。

小泉首相のように、それぞれの文化や宗教の違いと言い切ってしまうことはとても簡単で、現にそういうものでもある。ただ、この本で書かれているようなお互いがお互いになぜそういう行動を取るのかという背景を理解すれば、変に感情的にならず、打開策を探れるのではないか。そういう意味では、たとえば靖国という問題で両国が取った行動は、あまりにもシンプルすぎたのかなぁと思う。同じような顔つきをして、ご近所さんではあるけれど、まったく違う国だと言うことは、たしか。


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