四日間の奇蹟
-もちろんセンターの趣旨はリハビリです。
一日も早い社会復帰を目指して手伝っているんです。
でも、どんなに頑張っても死んだ脳細胞が蘇ることはない。
百パーセント元の状態に戻ることはないんです。
そういう自分に慣れるには時間がかかります。
とても長い時間です。-
「このミステリーがすごい!」大賞受賞作ですが、同賞受賞作の「チーム・バチスタの栄光」と同じくミステリーじゃないです。しかもコアの要素としては東野圭吾の「秘密」と同じく人の心が入れ替わるというネタで、目新しい物じゃないです。後者についての批判は多いけど、こういう要素は本作に限らずいろいろあるし、秘密がオリジナルかと言われればそうではないでしょうし、秘密よりもその要素を活かしているから全然気にならない。最後の展開も素敵な物だったと思う。
主人公と一緒に暮らす千織を始め、脳に障害を持った人たちが出てくる。その障害は、(現状の医療では)もう回復することが出来ない。僕自身、そういう人たちが行うリハビリに何の意味があるのかと少しむなしい気持ちや、絶望と怒りと祈りが混じり合ったような気持ちを、なんとなく感じたこともある。前にも少し書いたけど、僕はそれは受け入れるしかないものだと思っていて、冒頭に引用したそれを受け入れるためのリハビリだというこの本の話は、なんとなく理解できた。
年を取ると確かに若いときのように全速力で走ったり出来なくなるかもしれないけど、年を取ったら取ったなりの生き方があり、人はそれを無意識のうちに長い年月をかけて受け入れていっているのだろうと思う。後天的な障害はそれを受け入れる時間もないまま一気にそれが訪れるので、後からゆっくり時間をかけて受け入れていくしかないのだろう。
だけど先天的な物は?とか、そんな言葉を自分自身で受け入れられてるの?というとまあ正直分からなくて、先延ばし、気づかないようにしながら、ゆっくり受け入れていくしかないのだろうね。とけしてネガティブじゃなくそう思いました。「できる限り自分の信ずる意味で人間らしくありたい」という本の言葉に勇気づけられながら。

