四季(春・夏・秋・冬)
![]() 四季 春 Green Spring 森 博嗣 (著) |
![]() 四季 夏 Red Summer 森 博嗣 (著) |
![]() 四季 秋 White Autumn 森 博嗣 (著) |
![]() 四季 冬 Blue Winter 森 博嗣 (著) |
-どんな童話でも、良い人間は皆、形も良い。
醜いものが愛される物語もあるけれど、最後には、
美しい姿に変わってハッピィエンドになる。
そうならなければ、
幸せは訪れないかのように。-(春)
-「これが、孤独ですか?」
「そう、それが孤独です」四季は答えた。
「本当は、悲しいのですね?」
パティは訪ねる。
「いいえ」
四季は微笑んだ。
「悲しくはありません。
ただ、そこには、自分だけが存在している、という意識。
誰にも伝わらない、という思いがある」-(冬)
「すべてがFになる(iwalog:すべてがFになる)」を読んで、ミステリの体裁をとるこの本の犯人である真賀田四季の魅力だけが強く残った。それは、「白夜行(iwalog:白夜行)」の雪穂や、「火車(iwalog:火車)」の喬子のようで、孤独を抱え、知性をもった、その気持ちを誰も理解してくれない人だったからかもしれない。その四季の過去やその後を綴った本があるといわれれば読まないわけにはいかず、Amazonで届く時間も惜しくて渋谷のTSUTAYAで買ってきた。本当は「有限と微小のパン」という四季が登場する本がもう一冊あって、物語の時間軸的にはその本が先なのだけど置いてなかった。四季は4部作と長いけど、四季の世界に触れる時間は、長い方がうれしかった。
どうやらS&MシリーズやVシリーズという、この著者のシリーズ物の交差点になる本らしく、それらの本のキャラクタが多く登場し、謎もいろいろ解決されているようだった。僕にはそれはよく分からなかったけど、「冬」で四季が新藤清二を刺したときの会話を読んだとき、「すべてがFになる」から「春」「夏」「秋」「冬」と流れてきたこの1,625ページの物語に、自分の中で一本の線が白く鋭く貫いて、放心状態になってしまった。
現実にはあり得ず、抽象的な、連続性のない物語かも知れない。でもそれを丁寧に全部読んでいって、ふと振り返ると、僕らがときたま出会うことが出来る、あの言葉にならない気持ちのカタチが、見えたような気がした。人には、「楽しい」でも「うれしい」でも「悲しい」でもない、もっと豊かな感情がたくさんある。それを表現するには、言葉はあまりにも足らなすぎる。




