幻夜

2007/05/13(Sun) *Pickup, Book

幻夜 表紙
幻夜
東野 圭吾 (著)

-何があっても美冬を守る。
  たとえ彼女との夜が幻であっても。-

※完全ネタバレ(というほどでもないかもしれないけど)なのでご注意を。

白夜行の続編が出ているとは知らなかった。約800ページ、読了に7時間。前作の桐原亮司が唐沢雪穂のパートナーであったのに対し、本作の水原雅也は完全に新海美冬の道具であった。美冬が雅也が叔父を殺害する現場を目撃したときはほんの小さなきっかけであったのかも知れないが、美冬が襲われているところを雅也に助けられたことで、美冬が雪穂であった時亮二に助けられた思い出が重なり、道具にする決め手になったのではないだろうか。

相変わらず読ませる。新海美冬は誰なのかという大きな謎は、だんだん具体的な謎となり、一つ一つまわりから核心に迫り、最後に大きな結末に淡々と進んでいく。途中までは白夜行と同じでちょっと退屈にも思えたが、途中から雅也が美冬は美冬ではないと気づいたあたりから物語は大きく動く。そして今回もまた淡々と粛々と、そして冷酷に生きていく美冬。

しかし、ふと考えれば、幻夜は雅也が大きく扱われているが、美冬に関わった人たちにはそれぞれの幻夜があったのだろうと思う。その点で、雪穂×亮二と、雪穂(美冬)×雅也含むその他とは大きく違う。雪穂と亮二はたしかに同じ白夜行を歩いていたのでどこかに救いのような正当性を感じられたけど、今回は美冬の鋭さと冷たさと、残酷さが光っていた。

だから僕は読み終わったとき、美冬が船の上から見ていたその景色のどこかに、亮二がいて欲しいと、その思いだけは持ち続けていて欲しいと切に思った。僕の中では、ランドセルを背負っていたときの雪穂が、まだ生きているから。


Leave a Reply