神様がくれた指
2008/03/05(Wed) Book
咲はずっと嬉しそうに微笑んでいて、辻は黙ってその顔を眺めていた。二人とも口をきかなかった。話すべきことはたくさんあるのだが、言葉よりももっと切実に必要なものがあった。相手の存在そのもの、目の前にいる相手の本物の髪や目や手や笑い。その存在の全て。
いろいろと矛盾を抱えた物語。主人公はスリで、それ自身はいわゆる「反社会的行為」なのだけれど、その生き様が魅力的に描かれている。そして、それに特に裏付けになるようなエッセンスがあるわけでもなく、淡々と正当化してやっている。物語の後半でも、矛盾したことをしている。
641ページと結構長くて、物語が展開するのは普通の本だととっくに物語が終わっている300ページ過ぎで、それまでは正直あんまり面白くなかった。ただ、それからの300ページはあっというまにすぎていった。
別段大きなカタルシスがあるわけではなく、スリがスリを憎んだりしておまえもスリだろ!とつっこみどころも満載な訳です。僕はそれを矛盾を抱えて生きている「人間くさい」キャラクタと物語だと理解したのだけれど、若干消化不良感は残る。
咲、という主人公の妹みたいなキャラがいるのですが、それが知り合いと被った。住んでいるところも、その風貌も。ただ、ストーリー的にはちょっと退屈で、人にお勧めするかと言われれば、微妙かも。

