一分間だけ
2008/05/24(Sat) Book
小石や、名もない雑草、蟻んこ、ガム。そんなささやかなものに行き当たるたびに、決まってあの子は立ち止まる。
この世で考えられうる限りもっとも価値のないもの、それにあの子は夢中になるんです。形を認識して、匂いを嗅いで、いつまでも動かない。そんなくだらないものを、いとおしむように。まったく、あきれるくらいに。
でも、あの子がそうしてくれるおかげで、私は空を見上げることが出来るんです。
一人の女性編集者が過ごした、ゴールデンリトリーバーのリラとの物語。処分される寸前での出会いから、同居していた彼が去った後の彼女とリラ二人だけの生活、ガンの告知をうけたリラとの闘病の日々が綴られている。
変に「動物愛護」とかに走るのではなく、ただたんたんと一匹の犬との生活が綴られている。犬と接する人々の描写はとても心地いいものだったけれど、主人公の女性編集者の感情の起伏が単純すぎて、人間が溜まった感情をはき出す時はもっといろいろ積み重なった時じゃないかなぁと若干描写不足な印象。

