告白

2010/05/31(Mon) Book

告白 表紙
告白
湊 かなえ (著)

「罪と罰」や「戦争と平和」が母親にどのような影響を与えたのかはわからない。ただ、読みながら自分が感じていることを、同じ血が流れている母親も感じていたのではないかと思えた。

超絶に美しい松たか子主演で映画化される本作。中学校教師森口悠子の娘の事故死の真相が、何人かの登場人物の「告白」を積み重ねて徐々に明かされる物語。松たか子の超絶な美しさに期待しすぎたのか、途中飽きそうになりつつも、最後の真相の告白でおおっと目が覚めた感じ。

極論ではあるけれど、極度に抽象化してしまうと全ての恋愛小説は誰かが誰かを好きになる話であり、全てのミステリ小説は誰かが誰かを殺す話である。それがそうでなく固有の物語として成立しているのは、ストーリーであり、ストーリーとは登場人物達の感情の遷移であると思う。

この物語はそういった面が少なく、あったとしてもそのキャラクターである必然性が薄く、作中の登場人物の台詞としてもそういったものを否定している。展開はおもしろいのだけれど、自分でない誰かの様々な感情を読みたい僕としては、物足りなかった。

冒頭に引用したのは、ある登場人物の「告白」。この告白の中で、対象そのものではなく対象によってどう自分が感じ必然的にどう変わったかに価値を見いだしている登場人物が、さっきの作中で感情や物語性を否定しているのと同じ人物である事もなんだか消化不良。それが感情の遷移だと言われれば、それまでだけれど。


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