Archive for the ‘*Pickup’ Category

たまには書評以外のことを。

2007/01/19(Fri) *Pickup, Diary

目標があって、それに打ち込める環境があるというのは、何物にも代え難いと思う。いまの環境はまさにそれで、しんどいし、自分のキャパを押し広げてもまだ足りないくらいのことをやらなくちゃいけないけど、その先に、たとえば柏崎(過去一番充実した仕事)で感じたような、古いけど福光(過去二番目に充実した仕事)で感じたような、その後から振り返れば充実して打ち込んでいた時と同じ「におい」のようなものを感じるから、やめられない。

うまくいくかどうかなんて分からないし、うまくいかない理由のほうが見つけやすいし、理想の姿と現状のギャップを必死に埋めてもまだまだ不十分に感じる。でもその不確定な、当たって砕けるしかない運任せともいえる要素を可能な限り排除するには、できる限り頭を使って、じっくり時間をかけるしか、僕は方法を知らない。

でもそうやって打ち込めるのは、やりたい気持ちはあっても何していいか分からない時期とか、どんなにポジティブに考えても不毛としか思えないような事をしていた時期があって、それを知っているから、それを深く知っているほど、何かが見つかったときに打ち込める原動力になっているようにも思う。だからそういう時期は、絶対に無駄なことではないと思う。夢中になれることを見つけたいと、思っている人には。

夢中になれる環境の中で必死にやるというのは、もちろん大変だけれども、実は一番簡単なことなんじゃないかと最近思う。むしろ、そうでない環境の中で自分が思っているその気持ちを持ち続けることこそが、一番難しいことだと思う。芝居には、必ず稽古があって、その稽古時間の方が本番の時間よりもずっと長い。そして、本番を先にやることは出来ない。稽古の苦しみがなければ、本番の充実は味わえない。

すべてがFになる

2007/01/14(Sun) *Pickup, Book

すべてがFになる 表紙
すべてがFになる
THE PERFECT INSIDER
森 博嗣 (著)

-このお話を皆さんが信じないことくらい理解しています。
  でも、真実というものは他人の理解とは無関係です。-

森博嗣作品はクサナギのシリーズ(iwalog:ダウン・ツ・ヘヴン)のような小説物が多く、著者の得意であるミステリを読むのは本作が初めてだった。読み終わったら、工学博士の肩書きを持つひとりの著者が、本作のようなきわめて論理的でロジック立てられた物語と、ダウン・ツ・ヘヴンのような情緒的な物語を書いていることに驚きつつも、著者の考えを自身で実践してもいることに気づいた。

トリックは、物語の中にではなく、読者の意識の中にある。時折見られる論理的矛盾も、人間は時にそういう行動をするという事をまで織り込んだストーリーなのではないかとさえ思わせる、見事なお話でした。

ただ、自分の中でその事実を受け入れて。

2006/12/25(Mon) *Pickup, Clip

みんな、ありがとう|吉井怜のブログ「Aquamarin18」 Powered by アメブロ

同じ病気に限らず、ご病気で亡くなったというお話を聞くと、とても複雑な気持ちになります。色々な事を考え、今ここにいる自分自身を振り返り、多くのことに敏感になります。

そんな状態の時は、石ころ一つに躓いただけで、自分の中の芯が、音さえ立てずに崩れてしまいそうになります。

ただ、その多くの想いを言葉にするのは本当に難しく、容易に答えられるものでもなく、まして、自分と同じ病名だからといって、それは比べ合うものなんかじゃ絶対ないと思うし、自分が完治を迎えたからといって、安易に語ってはいけない気がするので、深くは語れません。

私は自分の経験したことしか話せないし、かといって、その経験をもとに偉そうに白血病について話せる人間ではない。

闘病生活という経験をマイナスには捉えないようにしている。かといって、過去のものと処理できるものでもない。ただ、自分の中でその事実を受け入れて今を歩いている。

そうだよね。それでいいんだよね。と思ったことの記録。

MISSING

2006/11/03(Fri) *Pickup, Book

MISSING 表紙
MISSING
本多 孝好 (著)

-京子は顔を上げて笑顔を見せた。
  だが、その目は笑っていなかった。
   この子は知っている。人の心がどんなに当てにならないものかを。-

5つの短編からなる本。基本的に全てが何かを失った故の物語として描かれている。読む人にとっては、退屈で、ありきたりな物語になるだろうと思う。でもそのMISSINGを自分自身で少しでも体験していたり、まわりにそういう人がいたりすると、かなり違って読めるものだ。そういう意味で、ずっと前に一度手に取った本ではあるけれど、今読んで良かったと思う。

ダリ回顧展

2006/10/29(Sun) *Pickup, Exhibition

ダリ回顧展

ダリ回顧展

ダリの絵を最初に見たのは、新潟で某氏がある日ぽんと持ってきた小さな冊子で、その冊子はダリの絵がいっぱい載っている物でした。それまでにもちらっと見たことはあったけど、きちんと見たのは初めてで、ひどく感動しました。特に有名な時計が曲がっている絵(記憶の固執の崩壊)に。

そんなこともあって、期待に胸をふくらませて大混雑と噂の上野へ。僕が行ったときは11時くらいでしたが、30分待ち。でも実際はそれほど待たなかった気がする。でも、どんどん人を入れていたせいで、中はとても絵をゆっくり見ていられる環境じゃなかった…。すぐに全部見るのはあきらめて、ピンポイントで見ていくことにした。(できたら平日にもう一回ゆっくり行きたい…)

記憶の固執の崩壊
記憶の固執の崩壊

「記憶の固執の崩壊」は、思っていたより小さな絵だった。A4くらいのサイズだったと思う。でも、そんなにちいさくても、その絵から伝わってくる平衡感覚やいろんな前提条件をリセットされてしまう不思議な雰囲気のせいで、とても大きな絵に感じた。いくつかの有名なダリの絵(「ビキニの3つのスフィンクス」とか)が見あたらないなぁと思っていたら、それらは諸橋近代美術館に収蔵されていて、今回その美術館はこの回顧展に参加していないからだと思われる(違っていたらごめんなさい。)

世界協会会議
世界教会会議

今回初めて見た絵の中では、「地質学的循環」や「世界教会会議」といった絵が印象的だった。キリスト教が世界に広く普及した背景には、その世界観や宗教画の、美術としての美しさみたいなものがかなり影響していたんじゃないかなぁと思った。なにか、人が根本源的に求めている物が描かれているような気がした。そして、その世界の中に自身をさらっと(じゃないかもしれないけど)描いてしまうことで、ダリがいろんな事を僕らに提示しているのではないかと感じた。

ダリ (アート・ライブラリー 表紙
ダリ (アート・ライブラリー)

職務に忠実な生き方。

2006/10/04(Wed) *Pickup, Diary

誰かがいっていた言葉だったか、どこかの本に書いてあった言葉だったかは忘れてしまったけれど、これだ!と思って凄く共感した言葉。「組織に忠実なのではなく、職務に忠実であれ」。少ししか組織は見ていませんが、同じ業界の組織でも、組織ごとにそれぞれのカルチャーとか、優先するものとかが全然違っていて、それがその組織の存在理由であるし、優劣をつけるものではないと思う。その人の会う会わないとかもあるし。

そういう組織属性とは切り離した、職務。自分が受け持っている任務を、お客さんが喜ぶ形のサービスに表し、それを優先して考えて実行する。それをきちんと考えることは、その職務から全体を見渡すことに繋がっていくので、けして視野が狭くなることはない。そうして築き上げる信頼はリーダーに値するものであると思う。個人に対する評価は、同じ仕事をしていても組織属性によって大きく左右されるけれど、お客さんからの評価はぶれることのない唯一の軸。そしてお客さんからの評価は、必ず組織にプラスの評価になるもの。それを追い求めていきたい。ブログを読んでいたらこの言葉にぶつかり、思い出したので戒めもかねてメモ。

憲法九条を世界遺産に

2006/09/23(Sat) *Pickup, Book

憲法九条を世界遺産に 表紙
憲法九条を世界遺産に
太田 光, 中沢 新一 (著)

-自らの存在の深部に、
  免疫抗体反応の発動を否定しようとしてきたものが、
   憲法九条以外に、この世にはすくなくともふたつある。
    一つは母体である。-

junjunmocchaさんの所で書評を見つけて購入。タイトルがキャッチーなのでかえって誤解を生む気がする。僕も最初は否定的な目で読んだんだけど、その否定的な理由への回答や、バックグラウンドにある考えと究極に突き詰めた(昇華した)世界遺産にする考えの根底がかいま見れた。

理想論ではあるが、その中にはらんでいる矛盾もしっかりと理解している。この二人は、国家と個人のレイヤーやルールの区別がきちんと付いており、ディスコミュニケーションが世界を豊かにしていると認め、自己否定もしており、覚悟もある。右でも左でもないフラットな思考の連続からジャンプした結果が、憲法九条の世界遺産というアイデア。だたそれに国民全体が共感するものではないということも理解している。

そうなれないかもしれないけれど、そうありたいという姿は生きる中で何よりも大切であると思う。そして、どれだけ強くそうありたいと願うかが、人の分かれ目だと思う。僕個人は、世界遺産化が理想であると共感するけれど、現実的には憲法九条という制限下で自衛隊という防衛のための軍隊の活動範囲を、国民や諸外国の批判というブレーキペダルを握りながら広げていくのがいいと思っている。(そして、本でも書かれているけど、こういう事がもう少し言いやすい世界になることを望む。)

ただしかし、世界遺産という形で日本の理想から世界の理想に昇華された憲法九条から、どんな新しい世界が生まれるのかを、見てみたいとは切に思う。そして、それを追い求める彼らに、希望を持つ。

火車

2006/08/26(Sat) *Pickup, Book

火車 表紙
火車
宮部 みゆき (著)

-一度はつかんだと思った生活が、消えてゆく。
  引き止めようとして、あまりに強く握り締めたために、
    彼女の手のなかで粉々に砕けてしまった-

宮部みゆきは、模倣犯とICOを読んだくらいですが、とても好きな作家です。グッドデザインプレゼンテーションを見に行こうと思ってたんだけど、朝起きたら体が重いので行くのをやめて、最近読む量が減ってしまった本を読む日にしようと決めた今日。冒頭を読んでは興味が持てず…を何冊か繰り返した後に開いたこの本は、冒頭から自然と引き込まれ、読了まで7時間、358ページ(1ページ2段組)一気に読みました。模倣犯もICOもそうだけど、この人の本は長いけど一気に読まされる。

サラ金問題をきっかけにしたある女性の失踪から始まるこの本は、その失踪した女性を追いかける休職中の刑事の視点で進む。さすがに書くことで食べているだけあって(あたりまえですが)、その失踪した人は一言も語ることないけれど、その人の息づかいや焦燥が伝わってくる。その辺は白夜行の刑事と雪穂の関係に重なりながら読み進めました。

消費者金融の借金で自殺を選んでしまう人がいることを、安全運転をしていても事故にあう人に丁寧になぞらえ、その人がどんなに注意していても制度や相手の都合でそうなってしまうのであり、決して借りる人の自堕落ではないことを説く。それも、経済システムから生まれた、存在しない幻のお金によって殺められ、貸した側がどうこう言われることはない(最近は言われていますが)。ネット広告の主要クライアントが金融業というカテゴリであり、そのお金でご飯を食べていることを前々から少し疑問に思ってはいましたが、改めて少し考えてしまいました。

また、登場人物のキャラクターがとても豊か。主人公の突き動かされる動機はあまり理解できませんでしたが(無理にでも突き動かされてくれないと話が進まないので…)、碇や保、そして郁美、喬子、澤木、久恵、みっちゃんという女性陣のキャラクタも、本に書かれていないその人のバックグラウンドまで想像されられるキャラクターたちでした。

自殺したいというほど強い意志はないけれど、酒を飲んだ夜に急な階段を歩きながら、このまま死んでしまってもいい、とふと思ってしまう時。別れ際の相手の些細な仕草が、そうあって欲しい、という願望からそう見えてしまった時。足があれば幸せに違いないと脱皮を繰り返す蛇と、足があるように見える鏡を売りつける蛇の話。近すぎるからこそ、一歩踏み出せない関係。本当に賢いって言うのは、どういうことなのかということ。ただ、幸せになりたかっただけだという気持ち。

挙げるときりがないですが、自分も以前感じたことのある感情や、感じたことはあるけどうまく言葉にできなかった感情、自分がこれまでであった事のある人もそう思っていたのかなという心の動き。そういうものにこの本でとても多く出会えました。いっこ前のエントリに書いて「それが生きることだ」とデカ長に言われてしまった、最近自分が変わっているなと感じた理由。それはいろんな気持ちやいろんな人に出会い、いろんな状況を経験することで、他の人のそういう状況を以前より少し理解できるようになったなぁ、といううことです。そうだからっていってどうなるのかはよくわかんないし、それの幅を広げるために読んでいるわけでもないですが、僕が本を読んでいて一番楽しいのは新しいそういうことに出会えるときで、この本からはそういう出会いがいっぱいありました。

最後の数ページは、ラストが目に入ってしまうと嫌なので、手で次の行が見えないようにして読みました。どことなく、白夜行の雪穂が新城喬子に重なり、読み終えてしばらくぼーっとしていました。

これから。

2006/08/15(Tue) *Pickup, Diary

iwalogを書き始めてから、丸3年になりました。23年間しか生きていない僕の3年間、僕の人生の10分の1.3(細かい)が、ここに記録されています。今年の誕生日のエントリで前ちゃんに指摘されたことが奇しくも現実となり、住処は変わってないけれど、やる事はまた心機一転となりました。

今頃書いてもしょうがない事ですが、今年の元旦にある目標を立てました。「今までできなかった事が出来る、誰でも知っているサービスを年内に作る。」という目標。特に根拠なく、でもそういう事がしたいなぁと漠然と決めた目標に、少しずつ近づいている気がします。今の仕事は夏に突然出てきた話で、いろいろ迷惑もかけましたが、年初からこの目標を立てていたので、チャンスを逃すまいと準備は出来ていたのかなと思います。振り返れば、ですが。

「思いは言葉になり、言葉は行動になり、行動は習慣となる。習慣は人格となり、人格は人生になる。」という言葉が好きで、目標を立てて強く想うというのが、前述の事なのかなと思います。目標があると、課題が生まれ、弱いところが分かり、集中する事が出来、成長することが出来るのかなと。なんにせ、楽しいし。

まだどうなるかは分からないけれど、どうしたいかの方向は見えているので、そっちの方向に向かって一歩一歩確実に(なるべく早く)走って行きたいなという日々。でもまぁ、一昨々年は新潟、一昨年は石川、去年は東京といろいろ変わっているので今後もどうなるかは分からないですが、社会人人生丸6年、7年目となる今年も、がんばっていこうかなと思います。ちなみにブログを始めたのが終戦記念日なので、毎年非常に思い出しやすい。

2006.8.15
IWASAKI Yusuke

送別会

2006/07/29(Sat) *Pickup, Diary

8月1日からの異動を控え、最終出社日だった今日、送別会をしてもらいました。他の人の時にいつもやっていた、プレゼントだの、寄せ書きだのがまったく準備されている気配がなかったけど、予想を裏切り期待に応えるすばらしいというかうれしすぎるプレゼントをいっぱいもらいました。ほんとにありがとうございます。

福井から東京に来るときは10人くらいの人に送ってもらったのに、今日は30人くらいきてもらえました。人数の多い少ないではないけど、いろんな人と知り合え、その人たちからいろんなものを吸収し、僭越ながら少しでもその人たちに何らかのプラスな影響を与えられたのなら、それだけでもう十分じゃないかとさえ思います。みんなのいいところをすこしづつ吸収した集合体が、今の僕だと思います。

でも、今後もみんなと楽しくやっていくために、新しく行くところできちんと結果を出して、自分自身もひとつでも多く成長して、また今日みたいな新しい出会いを求め、後悔しないようにやっていきたいなと思います。ベストな形ではなく、いろんな迷惑もかけてしまったので、それを挽回するためにも。後がないぞと。

最後に、現場で一番時間を共にしたKヨシさんと、Tツコさん。引き継ぎでいろいろとご面倒をおかけしました。でも、面と向かっては恥ずかしいので言いませんが、、入社してから、またこの1ヶ月とても濃い時間を過ごせて、とても楽しかったです。あなたの隣は、とっても居ごこちが良かったです。また、がんばります。

おじい