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赤朽葉家の伝説

2007/06/28(Thu) *Pickup, Book

赤朽葉家の伝説 表紙
赤朽葉家の伝説
桜庭 一樹 (著)

-せかいは、そう、すこしでも美しくなければ。-

前回読んだ「少女七竈と七人の可愛そうな大人」と同じ桜庭一樹の本。この作家、久しぶりにアタリかもしれない。この人の書く文章はとても美しい。美しい言葉から、美しい情景が描かれ、美しい物語になっていく。中国山脈のおくに隠れ住むサンカの娘が輿入れした、タタラで財を成した製鉄一族、赤朽葉家の盛衰を描いたこの本は、「白夜行」ばりの激動を白夜行以上の美しさで描く。

千里眼の目を持ち、山の子供から地方豪族長男の嫁になった赤朽葉万葉。その千里眼が写すものは幸福な未来ではなくほとんどが希望を失ってしまう未来ばかりで、その宿命を予め知りながらも生きていく万葉と、翻弄されつつも繁栄を極めていく赤朽葉家が生きた高度経済成長という、日本最後の神話の時代。

豊かな時代に万葉の娘として生まれた、毛毬。その豊かさゆえか信じる所と現実を見失った青春の中で訪れる、受験戦争からのプレッシャーから逃れるために管理売春に身を染めていった親友・蝶子の死。自ら作り上げたバブルによって自らが殺められる、巨と虚の時代。

ある意味では、万葉によってこの世に生を受けることを宿命付けられていた毛毬の娘、瞳子。高度経済成長の時代に自分達で時代を作っていった万葉。バブル崩壊の時代に過労死で倒れる毛毬。そんな偉大な祖母と母の存在に怯え、何者にもなれず何も語るものをもたない、平成の瞳子の時代。

万葉、毛毬、瞳子と3代にわたる赤朽葉家の女の物語の中で、昭和の終わりに生まれた僕が一番惹かれるのは戦後から始まる万葉の時代と、万葉の生き方。家族に捨てられた文字も読めない万葉は、激しくもしっかりと生きていった。その万葉を見て僕は瞳子と同じように、僕たちがその時代の人としてしか生きられないとするならば、僕らはどうやって生きていけばいいのかと思う。

電車に飛び込んで自害した、万葉の親友黒菱みどりの兄と、万葉の生みの親がいたかもしれない山中の箱が整然と並ぶくだりの描写は、華やかな時代の儚い、美しさと醜さの間にある、生と死の間に流れる長い時間を一瞬で描ききっていて、この本で唯一泪が出た。

万葉のまわりの人々が次々と亡くなっていく物語が描かれるけれど、それは万葉が生きていく様を描いているように思えた。いつかぜひ、何も語る物がないといった瞳子自身の、万葉や毛毬の話ではない瞳子自信の物語を聞いてみたい。

少女七竈と七人の可愛そうな大人

2007/06/17(Sun) Book

少女七竈と七人の可愛そうな大人 表紙
少女七竈と七人の可愛そうな大人
桜庭 一樹 (著)

装丁にひかれて買った本。とても美しい物語。故に儚く醜い。醜さや儚さがその鋭さを増せば増すほど、その美しさはさらに際だつものだなと思った。

そして、キミたちの日本語へ続く。

2007/02/12(Mon) IT

ATOK広告

一太郎2007

赤ちゃんはまだ言葉を理解しません。しかしこの子達が親から教えられ、覚え、話すようになり、思考し伝える言葉は「日本語」になるでしょう。

美しく豊かな日本語の中には、変わらない言葉も、変わっていく言葉もあります。
時代に応じて進化を続ける日本語を、これからも伝えていく。
それが一太郎の使命、ひいてはジャストシステムの使命だと考えています。

かうべるさんちのブログで見つけた一太郎2007の広告にまんまとやられ、ATOK16からATOK2007にバージョンアップするためDL購入。だって、MS-DOS時代からのATOKユーザなんだもの。

美しい言葉は、美しい思考をつくり、美しい気持ちを伝え、人を美しい気持ちにさせるはず。地味な会社の地味な製品だけど、きちんとお金を払いたくなる、お金を払う側なのにありがとうと言いたくなる最近少なくなった製品。これからも日本語が続く限り、ずっと残っていって欲しい製品です。

四季(春・夏・秋・冬)

2007/01/28(Sun) *Pickup, Book
四季 春 表紙
四季 春
Green Spring
森 博嗣 (著)
四季 夏 表紙
四季 夏
Red Summer
森 博嗣 (著)
四季 秋 表紙
四季 秋
White Autumn
森 博嗣 (著)
四季 冬 表紙
四季 冬
Blue Winter
森 博嗣 (著)

-どんな童話でも、良い人間は皆、形も良い。
 醜いものが愛される物語もあるけれど、最後には、
  美しい姿に変わってハッピィエンドになる。

 そうならなければ、
  幸せは訪れないかのように。-(春)

-「これが、孤独ですか?」
  「そう、それが孤独です」四季は答えた。

 「本当は、悲しいのですね?」
  パティは訪ねる。

 「いいえ」
  四季は微笑んだ。

 「悲しくはありません。
  ただ、そこには、自分だけが存在している、という意識。
   誰にも伝わらない、という思いがある」-(冬)

「すべてがFになる(iwalog:すべてがFになる)」を読んで、ミステリの体裁をとるこの本の犯人である真賀田四季の魅力だけが強く残った。それは、「白夜行(iwalog:白夜行)」の雪穂や、「火車(iwalog:火車)」の喬子のようで、孤独を抱え、知性をもった、その気持ちを誰も理解してくれない人だったからかもしれない。その四季の過去やその後を綴った本があるといわれれば読まないわけにはいかず、Amazonで届く時間も惜しくて渋谷のTSUTAYAで買ってきた。本当は「有限と微小のパン」という四季が登場する本がもう一冊あって、物語の時間軸的にはその本が先なのだけど置いてなかった。四季は4部作と長いけど、四季の世界に触れる時間は、長い方がうれしかった。

どうやらS&MシリーズやVシリーズという、この著者のシリーズ物の交差点になる本らしく、それらの本のキャラクタが多く登場し、謎もいろいろ解決されているようだった。僕にはそれはよく分からなかったけど、「冬」で四季が新藤清二を刺したときの会話を読んだとき、「すべてがFになる」から「春」「夏」「秋」「冬」と流れてきたこの1,625ページの物語に、自分の中で一本の線が白く鋭く貫いて、放心状態になってしまった。

現実にはあり得ず、抽象的な、連続性のない物語かも知れない。でもそれを丁寧に全部読んでいって、ふと振り返ると、僕らがときたま出会うことが出来る、あの言葉にならない気持ちのカタチが、見えたような気がした。人には、「楽しい」でも「うれしい」でも「悲しい」でもない、もっと豊かな感情がたくさんある。それを表現するには、言葉はあまりにも足らなすぎる。

美しい新聞 SANKEI EXPRESS

2006/12/10(Sun) Clip

紙面イメージ

美しい新聞
SANKEI EXPRESS

2週間くらい前に井の頭線渋谷駅のホームに降りたら、キムタクが新聞を読んでいる写真に「美しい新聞」というコピーのポスターが貼ってあって、会社について検索して産経新聞が新しいタブロイド紙を創刊した事を知る。美しい新聞というコピーにちょっと苦笑いしつつも試読申し込みをしておいたら、今日届いた。

情報量が多すぎず、写真が多く、広告は少なく、文化系の記事が多くて第一印象は◎。ふつうの新聞みたいな量の情報を毎日読めないし(RSS読むだけでも大変)、カラー写真のインパクトはやっぱり大きい。そして今のところ折り込み広告もない。(お金出して買ってるのにあの広告の量は異常。)

ニュース記事は、ちょっとまだ判断付かない。記事は基本的に産経新聞のソースを使っているので正論・保守だから寝起きにはちょっと味が濃すぎる感じもするし、日曜だったから経済記事がほとんどない。1週間試読してみてこれらがクリアできてたら、購読してみようかな。

東京IT新聞もそうだけど、ターゲットと内容を絞り込んだカジュアルな新聞が最近ぽつぽつと出てきている気がする。これまでの新聞が亡くなることはないと思うし、SANKEI EXPRESSや東京IT新聞はニーズに適した今後必要とされるメディアだと思うので、事業的にもうまくいってほしい。

恋の門

2006/11/05(Sun) Movie

恋の門 ジャケット
恋の門
出演: 松尾スズキ, 松田龍平 監督: 松尾スズキ

なんか変な映画でした(いい意味で。)酒井若菜はこういうキャラが合ってる。そして最近まれに見る美しいシーンもあった。

美しい国へ

2006/10/08(Sun) Book

美しい国へ 表紙
美しい国へ
安倍 晋三 (著)

-政治は未来のためにある-

安倍総理大臣の本ですが、ちょっと美しく書きすぎ。というのが感想。その理念は分かるし、共感もするけど、批判にもきちんと答えて欲しい。たとえば本で訴えている国際協力としてのイラク派兵は理解できるけど、そもそも米国が掲げた大儀がなかった点はどうなのよとか。その辺をクリアできれば、派手さはないけどバランス感覚が取れている人で、破壊の政権の後には適当な人ではないかと思う。

最近気になっているのは稲田朋美議員。橋本元総理について、「かつて首相だった人(女性公安員との関係を噂されて総理大臣になった橋本元総理)よりも、(自殺した上海日本大使館の)一領事館員の方が、国の名誉・国を守る気概があったと示す結果になったかもしれない」とさらっと発言。詳しい政策は知らないけど、次の選挙にも残る数少ない小泉チルドレンじゃないかと。あ、福井の人なのね。

桜の森の満開の下

2006/10/05(Thu) Book

坂口安吾
桜の森の満開の下

そこは桜の森のちょうどまんなかのあたりでした。四方の涯は花にかくれて奥が見えませんでした。日頃のような怖れや不安は消えていました。花の涯から吹きよせる冷めたい風もありません。ただひっそりと、そしてひそひそと、花びらが散りつづけているばかりでした。彼は始めて桜の森の満開の下に坐っていました。いつまでもそこに坐っていることができます。彼はもう帰るところがないのですから。

著作権の消滅した作品などを保管する「青空文庫」。坂口安吾の「桜の森の満開の下」も読めてしまう。久しぶりにラストを少し読んだけど、孤独と狂気にに満ち溢れた物語は、どれだけの時が経とうとも、鋭く美しい。

国家の品格

2006/05/01(Mon) Book

国家の品格 表紙
国家の品格
藤原 正彦 (著)

-チューリップは確かに美しい。
  しかし、世界をチューリップ一色にしては絶対にいけない。-

今日の国家シリーズの最後に、この本を読んでみました。講演を書き起こしたという軽妙な語り口で、凄く読みやすい。「理論」と「合理性」を使うには、正しい「情緒」と「形」が必要と説く。美しいものは問答無用で美しい、人を殺してはいけないのはいけないからいけない。包丁でおいしい料理も作れるが人殺しもできるように、理論という道具を正しく使うためには品格が必要。そういう所だろうか。

ベストセラーになったと言うが、この本はどんな年代の人が多く買ってるんだろうか。勝手な憶測だけど、戦後世代、それも団塊ジュニア以下の世代が多いんじゃないかと思います。好きにやりなさい、あなたが思うとおりにやりなさい。程度の差こそあれそういう風に育てられてきた僕らは、どことなく足場が不安定なような感覚を持ってます。ちょっと前にはやっていた、個性やオンリーワンという言葉が象徴するように。

普段そんな事を口にするわけではないですが、たまに「それってなんか違うよなぁ」という漠然とした思いはあるのですが、じゃあなんだと言われても答えられる訳じゃありません。自分のお小遣いでものを買い始めた頃にはもう消費税が付いていたし、緑色の画面にミサイルが飛ぶ湾岸戦争は覚えているけど、自分事としてとらえられるものでもありません。バブルとか、終わってたし。消費税率より貯金金利が高かった頃の記憶なんて、ほとんど無いです。

そんな中で生きていくときの指針って、この本に書かれているような事なんじゃないかと思うのです。だから、僕らのような世代がこの本を多く買っているんじゃないかなぁと、逆に買っていて欲しいなぁと、そんな風に思うのです。

推理小説

2006/04/29(Sat) Book

推理小説 表紙
推理小説
秦 建日子 (著)

-でも、朝焼けに照らされた雪平の横顔があまりにも無駄に美しいので、
  安藤は、美樹と理恵子の友情について考えるのはやめにした。-

篠原涼子主演のドラマ「アンフェア」の原作。ドラマの原作って、テレビでは総計10時間くらいかけてみるものを2時間ぐらいで味わえちゃうからお手軽。逆に言えば2時間で読めるものを10時間の広告枠に引き延ばしてるって事か。。。

そんなに複線もないし、小説で読んでると面白いけど、映像化すると面白くなくなる展開が多いように思った。あーでも、キャラクターは生き生きするかも。