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鳩山由紀夫の政治を科学する

2010/03/29(Mon) Book

鳩山由紀夫の政治を科学する 表紙
鳩山由紀夫の政治を科学する
(帰ってきたバカヤロー経済学)
高橋 洋一 (著), 竹内 薫 (著)

それにしても、因果なものですね。60年前、麻生さんのお祖父さんだった吉田茂の後を継いで首相になったのが、鳩山さんのお祖父さんにあたる鳩山一郎だったわけですから。

元財務官僚・経済学者で、小泉内閣で竹中平蔵大臣の補佐官、安倍内閣で内閣参事官を勤め、ちょっと前によく分からない窃盗事件を起こしてしまった高橋洋一氏の本。対談形式なのがちょっと読みづらいが、内容はおもしろい。

鳩山首相が唱える「国民の生活が第一」という言葉の国民とは、「民主党を支持してくれる人」であり、鳩山政権の目的関数は、「支持層の幸福の最大化」であるとして、様々な人事や政策を読み解いていく流れで進む。

細かい話を書いてしまうとおもしろくないので興味がある人は読んでもらうとして、つくづく政治とは予算なのだなぁと感じる。国民から集めた税金をどう再配分するかを表したものが予算であり、それで実行される形が政策であり、どう再配分するかを決めるものが党なり政治家なりの思想信条。

日々の報道ではどうしても具体的な政策の話になってしまうけれど、やっぱりその根本となる思想信条を議論すべき。それが選挙に勝つためというのではあまりにも稚拙すぎるし、国民もどの政党が自分に一番再配分してくれるかに注視していては稚拙な政治家の思う壺。日本でそれを語り合える日は来るのだろうか。

右翼と左翼

2008/12/23(Tue) Book

右翼と左翼 表紙
右翼と左翼
浅羽 通明(著)

「左」「左派」は、人間は本来「自由」「平等」で「人権」があるという理性、知性で考えついた理念を、まだ知らない人にも広め、世に実現しようと志します。これらの理念は、「国際的」で「普遍的」であって、その実現が人類の「進歩」であると考えられるからです。

(中略)

対するに「右」「右翼」は、「伝統」や「人間の感情、情緒」を重視します。「知性」や「理性」がさかしらにも生み出した「自由」「平等」「人権」では人は割り切れないと考えます(「反合理主義」「反知性主義」「反啓蒙主義」)。ゆえに、たとえそれらに何ら合理性が認められないとしても、「長い間定着してきた世の中の仕組み(秩序)である以上は、多少の弊害があっても簡単に変えられないし、変えるべきでもない」と結論します。

本書では一応ざっくりと引用したような定義がされているんだけれども、個人的には「右は現実主義・現実肯定」「左は理想主義・理想追求」という考え方の違いだけであって、目指すところは同じ、表現方法(戦争かテロ)が違うだけでロジック(この考えを世界に広めなければ!的な)は同じように感じた。

日本で言うと、戦後など社会の様々なクオリティがあまりにも低かった時代には理想を追求する左翼がもてはやされたけれども、ある程度物量的に満たされてきた現代では左の力が弱まり、日本の右傾化と言われるような傾向になってきた。でも、社会や経済情勢が不安定になった今左が再び強まってきた。という感じではないかと。

既に権力や実務運営をしている政権与党や高所得者は現状肯定・改善という考えで右に振れやすいだろうし、そういうものを持たない一般市民や低所得者やマイノリティは格差破壊や平等の実現という考えで左に振れやすいという印象がある。

僕は、これだけ価値観が一極にぶれやすい日本社会の中で、常に一定の価値観を保っている皇室は価値があると思うし(皇室関係予算180億の6割(110億)を占める宮内庁費はもっと削減できると思うが)、人間はそんなに高尚なものではないと思っているので右寄りなのかなぁと思う。でも、「自由」「平等」「人権」が実現できるものならそりゃあそうなった方がいいと思ったりもするので、右7:左3ぐらいなのかなぁと。

ベーシックインカムは成立するのか

2008/12/23(Tue) Society

「ベーシック・インカム」を支持します – 評論家・山崎元の「王様の耳はロバの耳!」

どこが特に気に入ったかというと、「個人単位」というところと、「働かなくてもいい」というところだ。今日の生き方の多様化を考えると、主として、世帯を単位とする現在の各種の税制や社会保障制度などは、婚姻の形態をはじめとして、個人の生活に不当に介入している。

また、人には、働かない自由もあっていいだろう。少なくとも、働かなくても、生存できるくらいの収入が保証されていれば、クビが怖くないから、個々の労働者が、もっと自由な働き方ができるし、雇い主と、より対等に交渉できるだろう。

読んだ直後は、公共事業で間接的に国民にばらまいているお金を直接的に分配すると言う意味でいい仕組みなのかなぁと思ったんだけど、それで社会はまわるのかなぁという不安が出てきた。おそらく経済は理屈的にまわる計算を立てることは出来ると思うんだけれど、そこで実際に働く人間がそれについて行けるのかなぁと。

以下ちょっと言葉が乱暴ですが、文脈を通してご理解下さい。世の中にはあまりやりたくないきつい仕事というのもあると思う。例えば、屠殺をする仕事だとか、ゴミの収集だとか、ペットの処分をする保健所だとか。もちろん誇りを持ってやっているヒトもいるのは理解できるけれども、同じ収入がもらえるほかの楽な仕事があったら、そっちにいってしまうのではないか。

そういう仕事に従事している人が「同じ収入がもらえるほかの楽な仕事」としてベーシックインカムをあてにした場合、「社会構造上必要だけれどあまりやりたい人がいない仕事」に人が集まらなくなり、社会が回らなくなり外部委託(国外や外国人労働者)することになると、社会運営のコストが増えてベーシックインカムの財源に影響するのではないかと。

アルファブロガーとか、経営コンサルタントとか、プログラマーとかディレクターとか、そういう職種だけで社会が成り立つのなら成立する仕組みだとは思うけれども、社会全体の従事者数からするとけっして多くはないわけで、その人達を食わせている側が崩壊するのではないかと思ったりするんだけれど。

ハケンの品格

2008/04/07(Mon) Movie

ハケンの品格

ハケンの品格

これも今頃見ました。大泉洋もいいですが、松方弘樹が以外といい。昔ながらの会社人間を地味だけどしっかりと表現している。自分の意志で派遣を選んだ篠原涼子演じる大前春子、それが唯一の選択肢で派遣になった加藤あい演じる森美雪、高度経済成長の中で会社と人生がイコールだった松方弘樹演じる桐島敏郎、その背中を追いつつも現実とのギャップに悩む大泉洋演じる東海林武。

それぞれがそれでいいのかと悩みながら生きる姿は、誰が善で誰が悪とかではなく、どの立場のキャラクタにも感情移入出来るストーリーに支えられ、常に変化する社会環境と、それに則さない企業と、その間で板挟みになる人間が抱えている気持ちが表れていて、少しだけ元気になれる。

ハケンの品格 DVD-BOX ジャケット
ハケンの品格 DVD-BOX
出演: 篠原涼子.加藤あい.小泉孝太郎.大泉洋

スタバではグランデを買え!

2008/01/20(Sun) Book

死刑 表紙
スタバではグランデを買え!
価格と生活の経済学
吉本 佳生 (著)

経済学をやわらかく解説した本。僕らが何かものを買う時、「物だけではなくサービスも含めて買っている」という考え方や、買うまでの移動や情報収集もコストとして考えるという考え方はとっても納得できる物だった。コンビニが新しく出店するならどこ?といった事例もあったけれど、ケータイにまつわる価格体系についての章が一番実感もあってわかりやすかった。

それよりも興味が行ったのが「比較優位」という考え方。自分の能力をきちんと見極めて、それが活かせるポジションを見つけてそこで確実な仕事をするという方法が、なんだか僕に会っているようで興味深く読んだ。

今年の目標

2008/01/01(Tue) *Pickup, Diary

僕は毎年年明けに目標を書いています。目標といっても、「禁煙します」みたいなのを一つ決めるのではなくて、「人間関係」「仕事」「健康」「精神・感情」「経済」「教育」という6つの分野について、どうなっていきたいのかをまとめています。今年実行できる具体的な事もあれば、最終的に目指す所であったり、抽象的な物から具体的な物まで混ざっています。

そんなわけなので、抽象的・長期的な所は毎年あんまり変わらなくて、具体的な所のみが毎年変わる感じです。今年は去年何の迷いもなく決められた「仕事」にすごく悩みつつも、ある程度答えを出したので、それに向かって頑張ろうと思います。

個人的な事が多いので全部はこのブログにはかけないのですが、ブログまわりについてだと「本を100冊読む(去年は64冊)」と「エントリを500本書く(去年は232本)」というのがあります。両方とも去年のほぼ倍くらい。あと、小説を1本書く事と、Linuxをちゃんとマスターする事。ぐらいかな、ここに書けるのは。(ここに書かないけどもっと真面目な目標も立ててます(汗)

それらをまとめて、「安定した土台をつくること」を今年の全体の目標にしました。安定したっていうのは、けして保守的になるという意味ではないです。自転車が常にこぎ続けることで安定して走れるように、公私ともにいろんな事に打ち込める環境と自分をつくり、それをこつこつとでも継続的に続ける事で、安定した自分の土台を造っていきたいと思います。(これで早速3/500エントリ。)

わたしたちの教科書

2007/09/08(Sat) Book


-あの時、一緒にあたしも死にました。
 お願いします、あたしを死刑にしてください。-

結局本を買って読みました。プロットだけを見るととてもシンプルな話なのですが、様々な登場人物の境遇や心情によって、それがどんどん複雑になっているように感じ、現実も確かにそんな感じだなと思う。生まれた時から、経済状況や家庭環境、身体がフラットになっている人間なんて少なくて、多少なりいろいろな状況を抱えながら生まれ、生きていく。そんな人たちが1億人あつまれば、原理原則の通り行くはずがない。

いじめ問題が主軸になっているのですが、いじめる側が簡単にいじめられる側になったり、その逆もありえて、子供だけじゃなくて社会に出てもそんなのは日常茶飯事な気がします。ただ、子供の頃にそん環境にいるのは結構しんどいし、今の社会は子供がいきなり飛び込むにはなかなかめんどうな世の中で、いろんなノイズが多いようにも思います。その中で大人が出来る事とは何だろうかと、少し考えてしまいました。早くからその現実を直視させる事なのか、それとは違う世界を見せてあげる事なのか。むむん。。。

赤朽葉家の伝説

2007/06/28(Thu) *Pickup, Book

赤朽葉家の伝説 表紙
赤朽葉家の伝説
桜庭 一樹 (著)

-せかいは、そう、すこしでも美しくなければ。-

前回読んだ「少女七竈と七人の可愛そうな大人」と同じ桜庭一樹の本。この作家、久しぶりにアタリかもしれない。この人の書く文章はとても美しい。美しい言葉から、美しい情景が描かれ、美しい物語になっていく。中国山脈のおくに隠れ住むサンカの娘が輿入れした、タタラで財を成した製鉄一族、赤朽葉家の盛衰を描いたこの本は、「白夜行」ばりの激動を白夜行以上の美しさで描く。

千里眼の目を持ち、山の子供から地方豪族長男の嫁になった赤朽葉万葉。その千里眼が写すものは幸福な未来ではなくほとんどが希望を失ってしまう未来ばかりで、その宿命を予め知りながらも生きていく万葉と、翻弄されつつも繁栄を極めていく赤朽葉家が生きた高度経済成長という、日本最後の神話の時代。

豊かな時代に万葉の娘として生まれた、毛毬。その豊かさゆえか信じる所と現実を見失った青春の中で訪れる、受験戦争からのプレッシャーから逃れるために管理売春に身を染めていった親友・蝶子の死。自ら作り上げたバブルによって自らが殺められる、巨と虚の時代。

ある意味では、万葉によってこの世に生を受けることを宿命付けられていた毛毬の娘、瞳子。高度経済成長の時代に自分達で時代を作っていった万葉。バブル崩壊の時代に過労死で倒れる毛毬。そんな偉大な祖母と母の存在に怯え、何者にもなれず何も語るものをもたない、平成の瞳子の時代。

万葉、毛毬、瞳子と3代にわたる赤朽葉家の女の物語の中で、昭和の終わりに生まれた僕が一番惹かれるのは戦後から始まる万葉の時代と、万葉の生き方。家族に捨てられた文字も読めない万葉は、激しくもしっかりと生きていった。その万葉を見て僕は瞳子と同じように、僕たちがその時代の人としてしか生きられないとするならば、僕らはどうやって生きていけばいいのかと思う。

電車に飛び込んで自害した、万葉の親友黒菱みどりの兄と、万葉の生みの親がいたかもしれない山中の箱が整然と並ぶくだりの描写は、華やかな時代の儚い、美しさと醜さの間にある、生と死の間に流れる長い時間を一瞬で描ききっていて、この本で唯一泪が出た。

万葉のまわりの人々が次々と亡くなっていく物語が描かれるけれど、それは万葉が生きていく様を描いているように思えた。いつかぜひ、何も語る物がないといった瞳子自身の、万葉や毛毬の話ではない瞳子自信の物語を聞いてみたい。

美しい新聞 SANKEI EXPRESS

2006/12/10(Sun) Clip

紙面イメージ

美しい新聞
SANKEI EXPRESS

2週間くらい前に井の頭線渋谷駅のホームに降りたら、キムタクが新聞を読んでいる写真に「美しい新聞」というコピーのポスターが貼ってあって、会社について検索して産経新聞が新しいタブロイド紙を創刊した事を知る。美しい新聞というコピーにちょっと苦笑いしつつも試読申し込みをしておいたら、今日届いた。

情報量が多すぎず、写真が多く、広告は少なく、文化系の記事が多くて第一印象は◎。ふつうの新聞みたいな量の情報を毎日読めないし(RSS読むだけでも大変)、カラー写真のインパクトはやっぱり大きい。そして今のところ折り込み広告もない。(お金出して買ってるのにあの広告の量は異常。)

ニュース記事は、ちょっとまだ判断付かない。記事は基本的に産経新聞のソースを使っているので正論・保守だから寝起きにはちょっと味が濃すぎる感じもするし、日曜だったから経済記事がほとんどない。1週間試読してみてこれらがクリアできてたら、購読してみようかな。

東京IT新聞もそうだけど、ターゲットと内容を絞り込んだカジュアルな新聞が最近ぽつぽつと出てきている気がする。これまでの新聞が亡くなることはないと思うし、SANKEI EXPRESSや東京IT新聞はニーズに適した今後必要とされるメディアだと思うので、事業的にもうまくいってほしい。

ヒルズ黙示録

2006/09/24(Sun) Book

ヒルズ黙示録 表紙
ヒルズ黙示録
検証・ライブドア
大鹿 靖明 (著)

-堀江たちはコンピュータシステムを越え、
  この国の社会経済システム全体のハッキングを楽しんでいた。-

-彼は自分がギリギリだけれど合法といつも言っているようだが、
  法に反しているかどうかを判断するのは彼じゃなくて司法の側にある。-

サブタイトルが「検証・ライブドア」となっているけど、ライブドア、楽天、村上ファンド、リーマンブラザーズ、ゴールドマンサックスなどのヒルズ企業を中心とし、フジテレビ、ニッポン放送、鹿内一族、TBSなどのメディア、大和SMBC、日興プリンシバル・インベストメンツ、三井住友銀行、オリックスグループなどの銀行や投資銀行、ソフトバンク、ソフトバンクインベストメント、USENなどのベンチャー、東京高裁、東京証券取引所、東京地検特捜部、金融庁、日本銀行などの行政機関、自民党、民主党、日本経団連などの政治機構。すべてが入り乱れた百花繚乱の戦国絵巻のようなストーリーだった。

この本でアエラの大鹿記者は、いくつかの嫌疑が違法と判断された場合、代表取締役としての責任はもちろん堀江容疑者にあるが、実行犯は宮内容疑者で、東京地検特捜部は堀江容疑者主導の絵を描き規制緩和が進んだ新自由主義の行き過ぎを是正するための、国策捜査であると論じている。ここに書かれていることが脚色はされつつも事実であるとするならばそうなのかもしれないが、上に引用したとおりその判断をするのは堀江容疑者でも大鹿記者でもなく司法なのだから、来年の早いうちに判決が出ると言われている司法の判断を待ちたい。

ただ、今回読んで気になったのは一連の事件ではなくこの司法判断の方。「法に反しているかどうかを判断するのは彼じゃなくて司法の側にある。」というのは法治国家の日本ではその通りだけど、そのシステムは結構脆弱で、ハックされるポイントを多々抱えている、意外と不安定なものなのだなということ。たぶん「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて(著:佐藤 優) 」とか読むともっといろいろ書いてあるのでしょう。

複雑系のこの世界の中でなにかの意志が働いたとしても、意図しないウイルスは必ず発生し、意志の結果が思い描いたものになるわけではない。ウイルスは滅びてもまた違う形で生まれてくる。まるでマトリックスみたいだ。と眠いので曖昧にして終わります。