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為末杯

2006/09/19(Tue) Clip

クイズミリオネアで1000万円を獲得した、陸上の為末大選手のお金の使い方。minさんのmixi日記で紹介されていて知ったんですが、もっといろんな人に知って欲しくなったのでここで紹介。

為末杯

具体的なイベントの内容はまだ考え中ですが、1000万使えるとなるとかなり選択の幅も広がります。1000万使えるという事よりもこれでイベントの認知度を高められるので、スポンサーを獲得できる可能性も広がります。一回に使い切るというのも派手でいいのですが、出来ればこの1000万が呼び水になって陸上の今後につながるようなイベントにしたいと考えています。

経済の仕組みを勉強した影響か、個人的にはやはり誰かが負担してやるものというのは長続きしないような気がしています。関わる人みんなに利益があるような、当然達成感や共有する喜びみたいなものもですが、そういう大会にしなければいけません。とりあえずは1000万あるので、陸上のイベントがビジネスになるようなモデルを作れればと考えています。

経済のシステムに関しては陸上は何も制限がありません。例えば選手が投資して、大会で得られる利益を選手に分配するような、そんなファンドのような仕組みを作っても構わないわけです。陸上選手の収入は、大会運営型ファンドの分配金、そんなのも面白いのではないでしょうか。

なんか尊敬してしまった。自分の仕事が、自分のお金が、誰かの役に立っている。そういう事を少しでも追い求めていきたいなと思った。貨幣(金銭)経済から非貨幣(金銭)経済への流れも提唱され共感もしますが、現状のメインストリームはまだ貨幣(金銭)経済である事も事実。その中では、継続的に利益を上げ続けることが一つの大切なポイントというか必達事項。仕事を通じてであれ個人的にであれ、まずは自分が打ち込める仕事にお金や資源や時間やノウハウの投資をしなければ何もリターンは得られない。

目標が明確だと、無意識に今必要な情報のフィルタリングが働き、全てのことが目標に結びつくようになる。平日ビシビシとその状況に自分を追い込み、週末は振り返りと少し違う視界を眺めて頭を休め、英気を養う。数年前と打ち込める目標があるのは同じだけれど、そのやり方は少しはマシになってきたかな?以前に比べて少しだけだけど、物事の細かな違いが見極められるようになってきた、23才の初秋。

火車

2006/08/26(Sat) *Pickup, Book

火車 表紙
火車
宮部 みゆき (著)

-一度はつかんだと思った生活が、消えてゆく。
  引き止めようとして、あまりに強く握り締めたために、
    彼女の手のなかで粉々に砕けてしまった-

宮部みゆきは、模倣犯とICOを読んだくらいですが、とても好きな作家です。グッドデザインプレゼンテーションを見に行こうと思ってたんだけど、朝起きたら体が重いので行くのをやめて、最近読む量が減ってしまった本を読む日にしようと決めた今日。冒頭を読んでは興味が持てず…を何冊か繰り返した後に開いたこの本は、冒頭から自然と引き込まれ、読了まで7時間、358ページ(1ページ2段組)一気に読みました。模倣犯もICOもそうだけど、この人の本は長いけど一気に読まされる。

サラ金問題をきっかけにしたある女性の失踪から始まるこの本は、その失踪した女性を追いかける休職中の刑事の視点で進む。さすがに書くことで食べているだけあって(あたりまえですが)、その失踪した人は一言も語ることないけれど、その人の息づかいや焦燥が伝わってくる。その辺は白夜行の刑事と雪穂の関係に重なりながら読み進めました。

消費者金融の借金で自殺を選んでしまう人がいることを、安全運転をしていても事故にあう人に丁寧になぞらえ、その人がどんなに注意していても制度や相手の都合でそうなってしまうのであり、決して借りる人の自堕落ではないことを説く。それも、経済システムから生まれた、存在しない幻のお金によって殺められ、貸した側がどうこう言われることはない(最近は言われていますが)。ネット広告の主要クライアントが金融業というカテゴリであり、そのお金でご飯を食べていることを前々から少し疑問に思ってはいましたが、改めて少し考えてしまいました。

また、登場人物のキャラクターがとても豊か。主人公の突き動かされる動機はあまり理解できませんでしたが(無理にでも突き動かされてくれないと話が進まないので…)、碇や保、そして郁美、喬子、澤木、久恵、みっちゃんという女性陣のキャラクタも、本に書かれていないその人のバックグラウンドまで想像されられるキャラクターたちでした。

自殺したいというほど強い意志はないけれど、酒を飲んだ夜に急な階段を歩きながら、このまま死んでしまってもいい、とふと思ってしまう時。別れ際の相手の些細な仕草が、そうあって欲しい、という願望からそう見えてしまった時。足があれば幸せに違いないと脱皮を繰り返す蛇と、足があるように見える鏡を売りつける蛇の話。近すぎるからこそ、一歩踏み出せない関係。本当に賢いって言うのは、どういうことなのかということ。ただ、幸せになりたかっただけだという気持ち。

挙げるときりがないですが、自分も以前感じたことのある感情や、感じたことはあるけどうまく言葉にできなかった感情、自分がこれまでであった事のある人もそう思っていたのかなという心の動き。そういうものにこの本でとても多く出会えました。いっこ前のエントリに書いて「それが生きることだ」とデカ長に言われてしまった、最近自分が変わっているなと感じた理由。それはいろんな気持ちやいろんな人に出会い、いろんな状況を経験することで、他の人のそういう状況を以前より少し理解できるようになったなぁ、といううことです。そうだからっていってどうなるのかはよくわかんないし、それの幅を広げるために読んでいるわけでもないですが、僕が本を読んでいて一番楽しいのは新しいそういうことに出会えるときで、この本からはそういう出会いがいっぱいありました。

最後の数ページは、ラストが目に入ってしまうと嫌なので、手で次の行が見えないようにして読みました。どことなく、白夜行の雪穂が新城喬子に重なり、読み終えてしばらくぼーっとしていました。

オンリーワンの経済総合雑誌 FACTA

2006/05/08(Mon) Book

オンリーワンの経済総合雑誌 FACTA

オンリーワンの経済総合雑誌 FACTA

内容が内容なので、手中にはまっている感はあるものの、年間購読しかないこの雑誌の購入ボタンをポチットナしてしまいました。

日はまた昇る

2006/04/30(Sun) Book

日はまた昇る 表紙
日はまた昇る
日本のこれからの15年
ビル・エモット (著), 吉田 利子 (翻訳)

-日本は革命の起こる国ではなくて、
  いったん合意の元にコースが決まったら、
   忠実かつ着実にそのコースを進む国なのである。-

日本よ、再び」に続いて読む。同じ事柄を別の視点から書いた本を連読するのは、頭も回りやすくて、視点も凝り固まらず、いいかも。どちらの本も、「日本は大丈夫だ、でも油断するなよ。」と語りかけてきます。

イギリスの歴史とかには全然知識が無くて的はずれかも知れませんが、大陸に隣接した資源や国土の限られた島国として、結構学ぶところがあるのではないか。そんな期待でイギリス「エコノミスト」編集長のこの人の本を買いました。

思っていたより日本を的確に捉えていて、日本人の僕らが知らなかったような情報もいくつか得る事ができた。僕らが他国のそれに鈍感であるように、この本でも宗教問題についてはいくぶん雑な解釈をしているけれど、経済と外交についての主張はなるほどなと学ぶところが多かった。

日本は高コストの国になってしまったけれど、人口減少を効率化の機会と捉えれば、高付加価値の製品やサービスを低コストで提供できる、究極の島国になるのではなかろうかと、そんな事を思いました。

再び昇った太陽は、僕らの未来を、明るく照らしてくれるのだろうか。

ホンネで動かす組織論

2006/04/08(Sat) Book

ホンネで動かす組織論 表紙
ホンネで動かす組織論
太田 肇 (著)

-日本の社会では、「減私奉公」という言葉が象徴するように、
  いかなる場合にも私より公を優先すべきだという暗黙の了解のようなものがある。
   つまり、「私」は「公」に対して常に下位におかれるのである。(中略)

 publicは、個々人の共通の利益を意味する。
  すなわち本来の「公」は個々人の利益や目的に還元できるものでなければならないのである。-

前職で教えられた「公」は引用した前者の「公」であり、今の会社で感じていた「公」を的確に表すのは引用した後者の「公」。本来後者の「公」を提供するべき自治体への仕事をしていた会社が前者の「公」によって動かされていたのは、今思えばなぜだったんだろう。

いろんな事例を元にその時にどういう組織の建て前と本音、社員のどういう建て前と本音が動いているのかを探りながら、双方の利害が合致する、直接統合(計画経済)ではなく間接統合(市場経済)の組織づくりを提唱している。

最近こういう組織論、働く心理についての本を読む事が多いけど、一つだけ疑問が。それらの本に書かれている「あるべき姿の組織」で、継続的に利益を上げ成長を続ける組織になるんだろうか、というもの。それは僕がうまくそれらの本に書いてある事を落とし込めていないのか、それらの本に書かれている組織がそういう組織を対象として書かれていないのか。ちょっと時間を作って読み返してみよう。

僕は、必要十分なメンバーと、まわりに何も言われずやりたい事(求められる事)ができる環境を作り、その中でプレーヤーとして働きたい。(周りと協力しないとか言う事じゃないよ。)。そういう環境を作りたいなぁと、思うのです。こういうのを読んでいると人事って面白いのかなぁと思うけど、その環境を作る事が目的じゃなくてその環境の中で働きたいだけだからなぁと、ふと冷静になりました。

部下の「やる気」は上司で決まる

2006/03/08(Wed) Book

部下の「やる気」は上司で決まる 表紙
部下の「やる気」は上司で決まる
モチベーション・クリエーターが企業の命運を握る
小笹 芳央 (著)

-日本では戦後の経済復興から高度経済成長に至るまで、
  猛烈なスピードで地方から都市への人口移動が生じました。
   表面的には農業から工業へのシフトがなされたように見えましたが、
    大都市の高層ビルの中で営まれていたのは、実のところ、
     「背広を着た農作業」だったのです。 -

上司でもマネージャーでもないし、やる気が出ない部下でもないのですが、読んでみました。年俸制や成果主義を導入してもモチベーションはあがらないという事を、少年法の刑罰を重くしても少年犯罪が減るわけではないように、教育や日々のまわりの人との関係の中からうまれるちょっとした事で命の大切さを知るように、日々のマネージャーとのコミュニケーションの中でモチベーションは動くのだと解くところはなるほどと思った。モチベーションを非常にロジカルに説明している。

本の中では僕の仕事に対する考えについても、いくつかのパターンとともに体系的に示されていて、自分がどういうタイプでどういう事にモチベーションを見いだすのかが書かれていた(実際書いてあるとおりの事でモチベーションあがる。)。それを使って周りのメンバーがどういうタイプなのかについて勝手に考えてみたのもおもしろかった。メンバーもそうだけど、マネージャーもそのタイプに想像で分類してみると、なるほどなと思う結果になった。

明日からのコミュニケーションが少し良くなる示唆を与えてくれるものでした。

無意識の中の意識 – ITベンチャーを知る4冊

2006/02/13(Mon) Book

ブログを再開した手始めに最近読んだ本の感想でも書こうかと思って、直近の4冊をあつめたら、あらと気づいた。すべてITベンチャーの本なのだ。買った時期はバラバラ、中には1年前に買った本もある。読んでるときは全然意識してなかったんだけど、不思議と繋がっちゃうのですね。以下読んだ順。

起業ってこうなんだ!どっとこむ 表紙
起業ってこうなんだ!どっとこむ
藤田 晋 (著), 米倉 誠一郎 (著)

-FLOSS
 とにかく失敗しろ、異質な視点で考えろ、
   現場に出よ、いい加減になれ、バカになれ-

お約束ですね。藤田さんの本の中では一番学ぶところが多い本だと思う。サイバーエージェントの事業紹介の部分もかなりあるけど、仕事の事、組織の事、上場の事、そもそもの経済の事など体系だって流れるように学べる。この後の本を読んでその思いは強くなったのだけど、サイバーエージェントは楽天やソフトバンク、ライブドアなど財閥的発展をしている企業とは路線が違う。かといって、はてなやGoogleのような技術的発展をしている起業とも違う。どれが残り成功するのかは分からないけれど、みんな自分の道に自信を持ち集中して走っている。

大企業では小さいビジネスがしにくい、自社の株を村上ファンドに売ったソフトブレーン、短期の利益を考えながらも長期の利益を出す、理想と現実のギャップを埋めるのが経営、教育はアウトプット型がいい、といった事が強く印象に残った。

幻想曲 孫正義とソフトバンクの過去・今・未来 表紙
幻想曲 孫正義とソフトバンクの過去・今・未来
児玉 博 (著)

-好調な決算を背景に「後は孫社長の体調だけが心配」との声もあった。
  これに対して孫社長は「前髪は危機的状況だが、健康状態は至って健康。
   表面的にはワンマンのように映るかもしれないが、実際は組織で動いている。(以下略)-

脚色されているとは分かりつつも、今の飄々とした童顔の孫さんからは微塵も感じられない、もの凄くもの凄く濃い生き方に一緒に流され一気に読んだ。在日三世として今メディアには多くを語らない幼少期、事業の立ち上げ、孫さんが描いた夢を次々と形にしそして必ず去っていくブレーンたち、タイムマシーンと時価総額経営、病。そして夢を描いてくれるはずの実務者の自殺など。

読みながら思った。出てくる企業名や事業内容は時代を感じるけれど、やっている事は今の楽天やライブドアがやっている事と同じ。もっと言えば、10年20年前に孫さんが体当たりで四苦八苦しながらやってきた事を、時流も手伝ってスマートにやっているのが楽天やライブドア。M&Aは時間と顧客を買えるという言葉が、印象的だった。

折しも今日、ソフトバンクはEBITDAベースでの過去最高益を発表した。冒頭の言葉はその発表での言葉だけど、そこに至る過程を知れるこの本はぜひぜひ読んで欲しい。おすすめ。

楽天の研究 表紙
楽天の研究―なぜ彼らは勝ち続けるのか
山口 敦雄 (著)

楽天をネットビジネス期とファイナンス期に分け、各取締役のインタビューで楽天の様々な顔を照らし出し、全体像に迫ろうとする本。全体的にネットのインタビューや一般に知られている事が多く、あまり深く掘り下げられていないのが残念。

ライブドア資本論 表紙
ライブドア資本論
佐々木 俊尚 (著)

-巨大な放送業界と堀江貴文。
  それはたとえて言えば、恐竜と小型ほ乳類みたいなものである。
   恐竜はいずれ滅びる事を運命づけられているとはいえ、
    未だに栄光の大恐竜時代の最後の残滓を謳歌している。(中略)
     「おまえらはもうすぐ滅びるんだぞ!」「いずれは俺たちの天下になるんだぞ」
      とかみついたとしても、恐竜の方は何の痛痒も感じていない。
       「うるせぇなぁ」と小型ほ乳類を後ろ足で引っかけ、遠くに投げ飛ばしてしまうだけなのだ。-

堀江さんの登場は日本社会の歴史的必然であり、日本経済が迷走の末に産み落とした赤子であるととらえ、その背景を紐解く事で彼を解き明かそうという本。ライブドアとフジテレビの戦いを軸に書かれている。MSCBの仕組みがやっと分かった。まだ人に説明できないけど。

一番興味深かったのは、戦前の地方財閥からの直接金融⇒戦中の政府が生産をコントロールするための政府→銀行→企業の間接金融⇒戦後の財閥解体や証券不況による買収危機などから官僚主導での株持ち合いや間接金融となり、現在に至る流れ。そして金融ビッグバンがあり新興企業が生まれる現在に至っている流れ。全ては偶然にも必然にも見え、その中で生きていることをとても不思議に思う。日本人は元々協調性がないのではないかという解釈も、自分の中では新しい発見だった。

そして話は堀江さんに迫り、堀江さんを是とするか非とするかは、日本がこれまでやってきた事への踏み絵であると解く。

今となっては全ての内容が今のライブドアに繋がるように見えてしまうけれど、僕は堀江さんがやってきた事がまっとうなことではなかったことが残念でならない。誰かが書いていたけれど、世界一の記録を出したアスリートがドーピングだったときのような感覚。

ちなみに僕はなるほど、とかへぇとか感動したところには付箋を貼るのですが、この4冊で一番付箋を貼ったのはライブドア、逆に一番少なかったのは楽天でした。この無意識の結果の中にも、何かの意識が働いてるのかも、しれない。

※尚、全部個人的な、意見です。