Posts Tagged ‘システム’

新世紀エヴァンゲリオン

2007/05/26(Sat) Movie

新世紀エヴァンゲリオン ジャケット
NEON GENESIS EVANGELION DVD-BOX ‘07 EDITION
出演: 貞本義行 監督: 庵野秀明

-父に、ありがとう
  母に、さようなら
 そして、全ての子供達(チルドレン)に
   ありがとう-

土曜日丸一日使ってエヴァンゲリオンをアニメ第一話「使徒、襲来」から劇場版最終作「THE END OF EVANGELION Air/まごころを、君に」まで一気に見る。これまでは全然見たことがなくて、碇シンジと綾波レイのイメージが強かったけど、全体を等してみると綾波レイより惣流・アスカ・ラングレーとか葛城ミサトの方がよく登場する。

アニメ最初の方は意気地なしで見てる方がイライラするシンジ君たちのロボットアニメだったのに、だんだん精神世界に入っていって、最後はもう完全自分の世界で終わってる。それでも戦闘シーンやミサトとの生活、システムに侵入されるシーンとかは単純におもしろかった。

アニメ最後の2話、「終わる世界」「世界の中心でアイを叫んだけもの」はこれまでの多くの謎を完全に放置したシンジの精神世界で、謎を謎のまま放置された方としてはなんだこりゃだけど、それまでの繋がりを無視して最後2話だけ見ると、他者との繋がりを維持することが出来た過程をきちんと描いていて僕は好き。

逆に、映画のラストの方が僕はもう分けわかんなかった。映像的にはもののけ姫みたいだったし、きちんと見れば分かるのかもしれないけど、広げられた謎は結局よくわかんなかった。でも、シンジが悩みながらもエヴェにのり、自分自身を解放していく過程は少し理解できる物があったし、あまりにもその過程がリアルに感じられて、いい意味で「気持ち悪い」と思える映画でした。ただ、シンジは嫌い。自分みたいで。

桜の森の満開の下

2007/03/24(Sat) *Pickup, Book

桜の森の満開の下 表紙
桜の森の満開の下
坂口 安吾 (著)

そこは桜の森のちょうどまんなかのあたりでした。四方の涯は花にかくれて奥が見えませんでした。日頃のような怖れや不安は消えていました。花の涯から吹きよせる冷めたい風もありません。ただひっそりと、そしてひそひそと、花びらが散りつづけているばかりでした。彼は始めて桜の森の満開の下に坐っていました。いつまでもそこに坐っていることができます。彼はもう帰るところがないのですから。

ときどき読み返してしまう。青空文庫でも読めます。桜には狂気があり、人間はそれに触れると、理由もなく人を殺すことが出来る。そしてそれは自分自身の死でもある。殺人には理由があると考えがちだけど、それは部外者が自分たちにはそういう理由がないから自分たちは人を殺す人間ではないという意識を持つために結果的に作られるだけで、本来人は理由もなく人を殺すことが出来る生き物なのだと思う。ただ、人のつながりや社会システムによって、それが起きにくいように予防線をはっているだけで、本来はやはりそういう生き物だと思う。この本は、そういう書いてはいけない、気づかせてはいけないことを書いてしまっているように思う。

いわごろ的 Life Hack(OS編)

2007/03/22(Thu) *Pickup, IT

ベースとなるOSはとにかくシンプルにしましょう。以下全てWinXPの場合です。

【音を消す】
[コントロールパネル]>[サウンドとオーディオデバイス]から[サウンド]タブを開いて、サウンドを全て消しましょう。

音なんかいらないはず。

【グラフィック効果を消す】
[コントロールパネル]>[画面]を開いてテーマを「Windows クラシック」に変更。
[コントロールパネル]>[システム]から[詳細設定]タブを開いて、[パフォーマンス]の設定をクリック。視覚効果にあるチェックを全部外す。

ウインドウに陰がなくても仕事は出来るはず。

【自動更新を停止する】
[コントロールパネル]>[セキュリティ センター]を開いて、Windowsの自動更新を停止。たまにしかないセキュリティアップデートのためにチェックプロセスを常駐させるのはもったいない。セキュリティアップデートは後術するRSSでITMediaとかをチェックしていれば気づくので、手動でやりましょう。それがちょっとでもめんどくさい人は絶対ONで。

【フォントをMS UI Gothicに】
[コントロールパネル]>[画面]を開いて[デザイン]タブの[詳細設定]を開き、フォントを全部「MS UI Gothic」というやつにしましょう。これはカタカナの文字幅が通常より狭くなっているので、一画面で表示される文字数が多くなり、一覧性が増します。僕はいろんな所のフォントを徹底的にこれに変更してます。

いちアクションごとの時間が少しだけ短くなる程度の効果しかないですが、ちりも積もれば何とやら、サクサク動くのは気持ちいいものです。というわけでOS編でした。

そして、キミたちの日本語へ続く。

2007/02/12(Mon) IT

ATOK広告

一太郎2007

赤ちゃんはまだ言葉を理解しません。しかしこの子達が親から教えられ、覚え、話すようになり、思考し伝える言葉は「日本語」になるでしょう。

美しく豊かな日本語の中には、変わらない言葉も、変わっていく言葉もあります。
時代に応じて進化を続ける日本語を、これからも伝えていく。
それが一太郎の使命、ひいてはジャストシステムの使命だと考えています。

かうべるさんちのブログで見つけた一太郎2007の広告にまんまとやられ、ATOK16からATOK2007にバージョンアップするためDL購入。だって、MS-DOS時代からのATOKユーザなんだもの。

美しい言葉は、美しい思考をつくり、美しい気持ちを伝え、人を美しい気持ちにさせるはず。地味な会社の地味な製品だけど、きちんとお金を払いたくなる、お金を払う側なのにありがとうと言いたくなる最近少なくなった製品。これからも日本語が続く限り、ずっと残っていって欲しい製品です。

the network technology of LIFE

2006/11/06(Mon) IT

the network technology of LIFE
the network technology of LIFE

週末にこれまで定点で330サイト読んでいたRSSを90サイト(友人・知人70サイト+ニュース系20サイト)まで減らしたら、日常生活がすごくスッキリした。330サイトのRSSは、1日だいたい400本くらいのエントリを運んできて、読み切れないエントリを「あとで読む」にしておくとだいたい週末に1,000エントリくらいの「あとで読む」がたまって、土日はそれとか本をせっせと読んでいた。毎朝RSSリーダーを開くと150エントリくらいの新着が出てきて、読み終わってリロードするとまた新しいエントリが出ている、みたいな日々だった。

そのおかげもあって、今朝起きてRSSリーダーを開いても新着エントリは25件だった。すぐ読み終わるし、「あとで読む」も5件くらいで済んだ。おかげで仕事もスイスイ進み、一つ一つの事をゆっくり考えられるようになった気がする。これからは大量の情報が流れる川を造ってそこから必要な物を取捨選択するのではなく、興味関心のテーマ事に毎回取りに行ったり、ピンポイントで定点観測するようにしていこうと思う。今更かという気もするけど、無駄も含めて一度網羅したから、できることでもあると思う。

で、興味関心を持ってネットを見ていたら、ものすごく懐かしいサイトを見つけた。「the network technology of LIFE」。1999年9月9日に行われた坂本龍一のオペラ「LIFE」のインターネット中継サイト。これをリアルタイムで見た人はどれくらいいるだろうか?まだISDNの時代に、「時間保証技術」や「同期システム」「Hyper Broad Gathering」というなんかすごそうな名前のテクノロジーを使って行われたそのオペラを、僕はリアルタイムで、福井の家から見ていた。実際それがすごいかどうかではなく、「なんか凄そう」な事が大事だった。

ネット中継とはいっても、64Kの回線。音声・映像の両方をクオリティを保って放送することが不可能と考え、音声のみを会場から配信し、音声と主に通信される信号に合わせてあらかじめダウンロードさせたクライアントアプリケーションから映像(といってもタイポグラフィ的な物だったと思う)を見るというものだった。見ているユーザがクリックで拍手を送ると、それが会場に送信されビジュアライズされて表示する、というのもあった。

今思えばなんじゃそりゃっていうものですが、当時はもの凄く興奮したものでした。その頃はなぜかインターネットから距離の離れた物に信号を送って、その結果を実空間で見える、という物が多かった気がする。まるでインターネットが実社会に向かって「ココにいるんですよ」というメッセージを送っているようだったし、その様になぜかスタパ齋藤みたいにスゲェ!とか思ったのでした。(蛇足ですが、大人になってタイアップ広告と経費という概念を知り、スタパ斉藤がなぜあんなにデジタルガジェットを保有できるかが分かりました。)

強引にまとめると、便利で実用的な物もいいけれど、なんかわかんないけどスゲェ!みたいな物も大切だよねと。そしてスゲェとか思っちゃうスナオな心はイカシテルっていうこと。そういう物に勝手に興奮してネットで仕事し始めて少しは人様のお役に立てるようになった(?)やつもいるのだから。と。

予想外なソフトバンクの予想通りの展開

2006/10/29(Sun) IT

ソフトバンクモバイル 広告

いろいろ書かれている考えられるケースをまとめるとこんな感じ。いわごろ的にありそうだと思った順番。

(1)SBM側の現場教育不足で誰もオペレーションできなかった・システム不備があった自爆説。
(2)SBMからの転出が多かったので、ヤバイと思ってSBMがシステムトラブルとウソついて緊急停止させた説。
(3)Dとaがタッグを組んでSBM側のトラブルに見せかけた陰謀説。
(4)ソフトバンクへの転入が多くてDとaがヤバイと思ってシステムトラブルとウソついて停止させた説。

実際は1と2の合わせ技で自爆したのを見てDとaがここぞとばかりに騒ぎ立てている気がする。そのうち各キャリアの契約数が出れば、結果は一目瞭然ですが、面白くなって参りました。まるでプロレスだ。いろいろ学ぶところは多いぞ。

ソフトバンク「予想外」、連日の携帯電話契約停止 – 朝日新聞

ソフトバンクは28日午後、システムの処理能力を超える申し込みがあったとして新規や機種変更などすべての契約業務を停止。滞留した申し込みの処理を進め、29日朝にはいったんシステムを復旧させたが、同社とドコモ、auとの間の乗り換え申し込みが多数あり、受け付けを続けるとシステムに負荷がかかり過ぎると判断して契約業務を止めたという。

ソフトバンクの携帯契約、また停止…総務省聴取へ – 読売新聞

「番号持ち運び制度」導入直後のトラブルだけに、総務省は事態を重視し、週明けにもソフトバンクモバイルからトラブルの原因などを聴取し、対応を検討する方針だ。

ソフトバンク:携帯加入を再停止 申請殺到し、対応できず – 毎日新聞

ソフトバンクの契約業務の停止について、NTTドコモとKDDI(au)は29日、システムの早期回復と再発防止を連名で申し入れた。「ソフトバンクは事前の試験で処理能力に問題ないと説明していた。再度のトラブルの発生で、顧客がソフトバンクから自社へ乗り換えることができなくなり不利益を受けている」と話している。

がんばれSBMの中の人!(予想外割に一番予想外だったのは中の人だったんだろうな。)

SEの教科書

2006/10/01(Sun) Book

SEの教科書 表紙
SEの教科書
成功するSEの考え方、仕事の進め方
深沢 隆司 (著)

-「100mを3秒で走れ」あるいは「何mかわからないが3秒で走れ」、
  しかも「いつもの単純な駆け足以外をやって何か問題があったら困る」というような
   状況を作ってしまって、それを実作業者に無理矢理やらせようということ自体、
    マネジメントの存在意義がないといいますか、恥ずかしいことではないかと思います。-

本を選ぶときは、結構無意識で、興味の赴くままに選んでいます。でも、前にも書いたこともありますが、不思議と今の自分に必要なものを無意識に選んでいるようです。渋谷で働くプチ取締役から借りたこの本もベストタイミングで出会った本となりました。短くて理路整然としているので1時間ちょっとで読めますが、実りは多いです。この人の下で働きたくなりますw。

これまでは受託側としてシステム開発にSEの部分で関わったことはありましたが、発注側としてシステム開発に関わることになりました。「システム開発は受託側より発注側が断然良い!」という気分にも一瞬なりましたが、それはそれで苦労が多いことを実感している日々です。

なまじ受託側をやっていたせいか、どこまで発注側としてやるべきかの線引きや、受託側として発注側にこうして欲しかった、逆に受託側として発注側からこういったことを明確にして欲しかったという記憶を便りに、見えないけれど一番大切な一緒に作っている感だったりモチベーションみたいなものを維持する手助けになればと動いている日々。

社内のSEの方や受託する企業は、僕みたいな本を読んだり現場でつかんだ方法ではなく体系だった勉強や膨大な経験を積まれているので、アウトプット資料や事前の懸念点の発見度合いなど、毎日かなり勉強になっています。いわごろはこまい所をかたづけたりしてその人たちがそれらの業務に集中できるように動いて、同時にいろいろ吸収させてもらって刺激が多い日々です。

借り物なので、いつもは付箋を付けて済ませているぐっときたポイントをメモ。

・SEの役割とは「業務システム開発を成功させるために、必要なことはすべてやる」ということ。

・実装段階で出た仕様の問題は、追及せず解決するのみ。問題発生を問題視することは時間の無駄。(マネジメントに起因する問題は別)

・業務分析は業務システム開発の中で最も重要な工程。

・いくら契約したってできないものはできない(投げやりじゃなく)。

・「自分が作るからには、自分が知らなければならない」ということさえ頭にあれば、かなりの問題が回避できる。

・SEの仕事で大切なのは、単なる表現手法や手順ではなく、いかに顧客側の要求を実際に作られるプログラムに反映・具体化させるか、つまり「使う側と作る側のコミュニケーションをどのように緻密に作り上げるか」

ヒルズ黙示録

2006/09/24(Sun) Book

ヒルズ黙示録 表紙
ヒルズ黙示録
検証・ライブドア
大鹿 靖明 (著)

-堀江たちはコンピュータシステムを越え、
  この国の社会経済システム全体のハッキングを楽しんでいた。-

-彼は自分がギリギリだけれど合法といつも言っているようだが、
  法に反しているかどうかを判断するのは彼じゃなくて司法の側にある。-

サブタイトルが「検証・ライブドア」となっているけど、ライブドア、楽天、村上ファンド、リーマンブラザーズ、ゴールドマンサックスなどのヒルズ企業を中心とし、フジテレビ、ニッポン放送、鹿内一族、TBSなどのメディア、大和SMBC、日興プリンシバル・インベストメンツ、三井住友銀行、オリックスグループなどの銀行や投資銀行、ソフトバンク、ソフトバンクインベストメント、USENなどのベンチャー、東京高裁、東京証券取引所、東京地検特捜部、金融庁、日本銀行などの行政機関、自民党、民主党、日本経団連などの政治機構。すべてが入り乱れた百花繚乱の戦国絵巻のようなストーリーだった。

この本でアエラの大鹿記者は、いくつかの嫌疑が違法と判断された場合、代表取締役としての責任はもちろん堀江容疑者にあるが、実行犯は宮内容疑者で、東京地検特捜部は堀江容疑者主導の絵を描き規制緩和が進んだ新自由主義の行き過ぎを是正するための、国策捜査であると論じている。ここに書かれていることが脚色はされつつも事実であるとするならばそうなのかもしれないが、上に引用したとおりその判断をするのは堀江容疑者でも大鹿記者でもなく司法なのだから、来年の早いうちに判決が出ると言われている司法の判断を待ちたい。

ただ、今回読んで気になったのは一連の事件ではなくこの司法判断の方。「法に反しているかどうかを判断するのは彼じゃなくて司法の側にある。」というのは法治国家の日本ではその通りだけど、そのシステムは結構脆弱で、ハックされるポイントを多々抱えている、意外と不安定なものなのだなということ。たぶん「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて(著:佐藤 優) 」とか読むともっといろいろ書いてあるのでしょう。

複雑系のこの世界の中でなにかの意志が働いたとしても、意図しないウイルスは必ず発生し、意志の結果が思い描いたものになるわけではない。ウイルスは滅びてもまた違う形で生まれてくる。まるでマトリックスみたいだ。と眠いので曖昧にして終わります。

為末杯

2006/09/19(Tue) Clip

クイズミリオネアで1000万円を獲得した、陸上の為末大選手のお金の使い方。minさんのmixi日記で紹介されていて知ったんですが、もっといろんな人に知って欲しくなったのでここで紹介。

為末杯

具体的なイベントの内容はまだ考え中ですが、1000万使えるとなるとかなり選択の幅も広がります。1000万使えるという事よりもこれでイベントの認知度を高められるので、スポンサーを獲得できる可能性も広がります。一回に使い切るというのも派手でいいのですが、出来ればこの1000万が呼び水になって陸上の今後につながるようなイベントにしたいと考えています。

経済の仕組みを勉強した影響か、個人的にはやはり誰かが負担してやるものというのは長続きしないような気がしています。関わる人みんなに利益があるような、当然達成感や共有する喜びみたいなものもですが、そういう大会にしなければいけません。とりあえずは1000万あるので、陸上のイベントがビジネスになるようなモデルを作れればと考えています。

経済のシステムに関しては陸上は何も制限がありません。例えば選手が投資して、大会で得られる利益を選手に分配するような、そんなファンドのような仕組みを作っても構わないわけです。陸上選手の収入は、大会運営型ファンドの分配金、そんなのも面白いのではないでしょうか。

なんか尊敬してしまった。自分の仕事が、自分のお金が、誰かの役に立っている。そういう事を少しでも追い求めていきたいなと思った。貨幣(金銭)経済から非貨幣(金銭)経済への流れも提唱され共感もしますが、現状のメインストリームはまだ貨幣(金銭)経済である事も事実。その中では、継続的に利益を上げ続けることが一つの大切なポイントというか必達事項。仕事を通じてであれ個人的にであれ、まずは自分が打ち込める仕事にお金や資源や時間やノウハウの投資をしなければ何もリターンは得られない。

目標が明確だと、無意識に今必要な情報のフィルタリングが働き、全てのことが目標に結びつくようになる。平日ビシビシとその状況に自分を追い込み、週末は振り返りと少し違う視界を眺めて頭を休め、英気を養う。数年前と打ち込める目標があるのは同じだけれど、そのやり方は少しはマシになってきたかな?以前に比べて少しだけだけど、物事の細かな違いが見極められるようになってきた、23才の初秋。

火車

2006/08/26(Sat) *Pickup, Book

火車 表紙
火車
宮部 みゆき (著)

-一度はつかんだと思った生活が、消えてゆく。
  引き止めようとして、あまりに強く握り締めたために、
    彼女の手のなかで粉々に砕けてしまった-

宮部みゆきは、模倣犯とICOを読んだくらいですが、とても好きな作家です。グッドデザインプレゼンテーションを見に行こうと思ってたんだけど、朝起きたら体が重いので行くのをやめて、最近読む量が減ってしまった本を読む日にしようと決めた今日。冒頭を読んでは興味が持てず…を何冊か繰り返した後に開いたこの本は、冒頭から自然と引き込まれ、読了まで7時間、358ページ(1ページ2段組)一気に読みました。模倣犯もICOもそうだけど、この人の本は長いけど一気に読まされる。

サラ金問題をきっかけにしたある女性の失踪から始まるこの本は、その失踪した女性を追いかける休職中の刑事の視点で進む。さすがに書くことで食べているだけあって(あたりまえですが)、その失踪した人は一言も語ることないけれど、その人の息づかいや焦燥が伝わってくる。その辺は白夜行の刑事と雪穂の関係に重なりながら読み進めました。

消費者金融の借金で自殺を選んでしまう人がいることを、安全運転をしていても事故にあう人に丁寧になぞらえ、その人がどんなに注意していても制度や相手の都合でそうなってしまうのであり、決して借りる人の自堕落ではないことを説く。それも、経済システムから生まれた、存在しない幻のお金によって殺められ、貸した側がどうこう言われることはない(最近は言われていますが)。ネット広告の主要クライアントが金融業というカテゴリであり、そのお金でご飯を食べていることを前々から少し疑問に思ってはいましたが、改めて少し考えてしまいました。

また、登場人物のキャラクターがとても豊か。主人公の突き動かされる動機はあまり理解できませんでしたが(無理にでも突き動かされてくれないと話が進まないので…)、碇や保、そして郁美、喬子、澤木、久恵、みっちゃんという女性陣のキャラクタも、本に書かれていないその人のバックグラウンドまで想像されられるキャラクターたちでした。

自殺したいというほど強い意志はないけれど、酒を飲んだ夜に急な階段を歩きながら、このまま死んでしまってもいい、とふと思ってしまう時。別れ際の相手の些細な仕草が、そうあって欲しい、という願望からそう見えてしまった時。足があれば幸せに違いないと脱皮を繰り返す蛇と、足があるように見える鏡を売りつける蛇の話。近すぎるからこそ、一歩踏み出せない関係。本当に賢いって言うのは、どういうことなのかということ。ただ、幸せになりたかっただけだという気持ち。

挙げるときりがないですが、自分も以前感じたことのある感情や、感じたことはあるけどうまく言葉にできなかった感情、自分がこれまでであった事のある人もそう思っていたのかなという心の動き。そういうものにこの本でとても多く出会えました。いっこ前のエントリに書いて「それが生きることだ」とデカ長に言われてしまった、最近自分が変わっているなと感じた理由。それはいろんな気持ちやいろんな人に出会い、いろんな状況を経験することで、他の人のそういう状況を以前より少し理解できるようになったなぁ、といううことです。そうだからっていってどうなるのかはよくわかんないし、それの幅を広げるために読んでいるわけでもないですが、僕が本を読んでいて一番楽しいのは新しいそういうことに出会えるときで、この本からはそういう出会いがいっぱいありました。

最後の数ページは、ラストが目に入ってしまうと嫌なので、手で次の行が見えないようにして読みました。どことなく、白夜行の雪穂が新城喬子に重なり、読み終えてしばらくぼーっとしていました。