違和感の正体
産科医に無罪判決 帝王切開での女性死亡事故 福島地裁 – 朝日新聞
福島県立大野病院で帝王切開手術を受けた女性(当時29)が死亡した医療事故で、福島地裁(鈴木信行裁判長)は20日、業務上過失致死と医師法違反罪に問われた医師、加藤克彦被告(40)に無罪(求刑禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。事件は、治療における医師の判断、手術法の選択にまで捜査当局が踏み込んだものとして注目されていた。
医療は学問ではなく、社会システムです。医学は単なる学問。医学という土台の上に、国民の意思で医療という家を建てるようなもの。そこでは医学の結果と正反対のことが行われることもあります。
ミクロで見たときに生まれる悲しい感情を、マクロで見たときに見える全体最適化という理屈で均等を保とうとしてまだ揺れている感じではありますが、基本的には正しい判断じゃないかと思う。でも何か違和感があって気持ち悪かったんだけど、その正体が分かった。
以前読んだ「ジーンワルツ」という本で、出産というものがそもそも危険を伴う行為だと言うことは何となく分かった。というか、この本自体が今回の事件をモチーフに書かれたと言われている。医者は神じゃないということも理解しているし、きちんとやっている医者はどんどんお金もらえばいいと思ってる。
でも、今回の事件では日本の医療業界が一丸となってサポートしている。以下主要なものを引用。
大野病院医療事件:帝王切開の医師に無罪判決 福島地裁 – 毎日新聞
吉村泰典・日本産科婦人科学会理事長は「被告が行った医療の水準は高く、医療過誤と言うべきものではない。癒着胎盤は極めてまれな疾患であり、最善の治療に関する学術的な議論は現在も続いている段階だ。学会は、今回のような重篤な症例も救命できる医療の確立を目指し、今後も診療体制の整備を進める。医療現場の混乱を一日も早く収束するため、検察が控訴しないことを強く要請する」との声明を出した。
大野病院医療事件:判決に被告は安堵 遺族は目を閉じ… – 毎日新聞
加藤医師の支援活動をしてきた上昌広・東大医科学研究所特任准教授は「今回のような医療事故を法廷で真相究明することの限界が明らかになった。当時の医療体制の根本的な議論がないまま、医師の過失の有無だけの争いとなっていた。これを機に医療事故における業務上過失致死罪の適用について国民的な議論が必要。司法関係者も、医療事故に刑法を適用することの是非をもっと議論すべきだ」と話した。
同学会医療問題ワーキンググループ委員長を務める岡井崇理事は「今回のケースは逮捕する理由がなかった。たとえ患者への説明が不十分だったとしても、医師に刑事罰を与えることにはつながらない。医療を知らない警察が最初に捜査を行ったことが問題。まず、専門家が第三者機関を設けて調査すべきだと事件を通じて率直に感じた」
大野病院事件の無罪判決について、全国約4900人の産婦人科や泌尿器科の医師らで構成する「日本生殖医学会」(岡村均理事長、東京)は20日、「極めて適切な判断と考え、歓迎する」との声明文を公表した。
声明文では「医療提供者には常にベストを尽くして治療する義務がある」とした上で「全力を尽くしても、治療結果は個別で異なり、最終的に最悪の結果になる場合がある。これは社会の常識で、法律上も正しいと判断された」などとしている。
繰り返すけど医者は神じゃないと思っているし今回の判決も正しいと思っている。でも、今回感じた違和感というのは、これら医療業界の人たちが「訴えてんじゃねーよ」「何も分かってない警察や検察が口出すんじゃねーよ」「部外者には分からない世界なんだからこういう事が起きても内部で処理するよ」と本音の部分で思ってるんじゃないかと思ってしまうこと。
「検察が控訴しないことを強く要請する」とか「歓迎する」とか、被害者がいる事件について公の場でこういうことを言う神経がよく理解できない。報道を見ている限り当事者の医師はそうではないように思えるのが救いだけど。事件そのものについては、検察ではなく遺族が司法の場での決着を望むなら遺族が原告になって訴えるのがよかったのではないかと思う。
















