告白

2010/05/31(Mon) Book

告白 表紙
告白
湊 かなえ (著)

「罪と罰」や「戦争と平和」が母親にどのような影響を与えたのかはわからない。ただ、読みながら自分が感じていることを、同じ血が流れている母親も感じていたのではないかと思えた。

超絶に美しい松たか子主演で映画化される本作。中学校教師森口悠子の娘の事故死の真相が、何人かの登場人物の「告白」を積み重ねて徐々に明かされる物語。松たか子の超絶な美しさに期待しすぎたのか、途中飽きそうになりつつも、最後の真相の告白でおおっと目が覚めた感じ。

極論ではあるけれど、極度に抽象化してしまうと全ての恋愛小説は誰かが誰かを好きになる話であり、全てのミステリ小説は誰かが誰かを殺す話である。それがそうでなく固有の物語として成立しているのは、ストーリーであり、ストーリーとは登場人物達の感情の遷移であると思う。

この物語はそういった面が少なく、あったとしてもそのキャラクターである必然性が薄く、作中の登場人物の台詞としてもそういったものを否定している。展開はおもしろいのだけれど、自分でない誰かの様々な感情を読みたい僕としては、物足りなかった。

冒頭に引用したのは、ある登場人物の「告白」。この告白の中で、対象そのものではなく対象によってどう自分が感じ必然的にどう変わったかに価値を見いだしている登場人物が、さっきの作中で感情や物語性を否定しているのと同じ人物である事もなんだか消化不良。それが感情の遷移だと言われれば、それまでだけれど。

昭和天皇論

2010/03/29(Mon) Book

昭和天皇論 表紙
ゴーマニズム宣言SPECIAL 昭和天皇論
小林 よしのり (著)

しかし、私には国体を護れる確信がある。

前著「天皇論」の前編ともいえる本。主に終戦の決断とその後について書かれている。「人間宣言」は「新日本建設に関する詔書」であり、宗教的な神(God)である事を否定しただけで今も昔も「カミ」であるというのは前著天皇論でも共感した部分だけれど、新たに「聖断」や戦争責任にまつわる経緯の部分は興味深く読んだ。

ただ、「天皇論」では歴史的事実とは別な皇室や天皇をどうとらえるかという話だったので、著者の持論も納得できるところは納得し違和感を覚えるところは一つの考えとして読み進めていたけれど、今回の「昭和天皇論」は歴史的事実と著者の解釈が巧みに混在しているので、若干読者をミスリードとは言わないけれど、意図的に誘導している感がある。

歴史的事実や言動との合間に著者の想像での行動が織り込まれており、それを元にした論理立てがされているところがある。前著「天皇論」のように歴史的事実や言動の解釈を自由にすることはかまわないことだと思うけれど、歴史的事実に見せかけた著者の解釈を挟んでくるのは違和感を覚える。

故に、最後の結論にもいまいち納得しきれない感が残った。読み終わってからふと、何を持って日本であり日本人であるのだろうと考えた。国土的なものなのか、血縁なのか、言語なのか、国旗なのか国歌なのか。浅い頭で、前の世代から受け継いだものを次の世代によりよい形で引き渡す意志があるかどうかではないかと考えたけれど、どの国にも当てはめることが出来てしまうので何か違う。それが何なのかは、まだ分からない。

鳩山由紀夫の政治を科学する

2010/03/29(Mon) Book

鳩山由紀夫の政治を科学する 表紙
鳩山由紀夫の政治を科学する
(帰ってきたバカヤロー経済学)
高橋 洋一 (著), 竹内 薫 (著)

それにしても、因果なものですね。60年前、麻生さんのお祖父さんだった吉田茂の後を継いで首相になったのが、鳩山さんのお祖父さんにあたる鳩山一郎だったわけですから。

元財務官僚・経済学者で、小泉内閣で竹中平蔵大臣の補佐官、安倍内閣で内閣参事官を勤め、ちょっと前によく分からない窃盗事件を起こしてしまった高橋洋一氏の本。対談形式なのがちょっと読みづらいが、内容はおもしろい。

鳩山首相が唱える「国民の生活が第一」という言葉の国民とは、「民主党を支持してくれる人」であり、鳩山政権の目的関数は、「支持層の幸福の最大化」であるとして、様々な人事や政策を読み解いていく流れで進む。

細かい話を書いてしまうとおもしろくないので興味がある人は読んでもらうとして、つくづく政治とは予算なのだなぁと感じる。国民から集めた税金をどう再配分するかを表したものが予算であり、それで実行される形が政策であり、どう再配分するかを決めるものが党なり政治家なりの思想信条。

日々の報道ではどうしても具体的な政策の話になってしまうけれど、やっぱりその根本となる思想信条を議論すべき。それが選挙に勝つためというのではあまりにも稚拙すぎるし、国民もどの政党が自分に一番再配分してくれるかに注視していては稚拙な政治家の思う壺。日本でそれを語り合える日は来るのだろうか。

最高の涙-宮里藍との一四〇六日

2010/03/29(Mon) Book

最高の涙-宮里藍との一四〇六日 表紙
最高の涙-宮里藍との一四〇六日
安藤 幸代 (著)

「私は、勝つ準備は出来ています。」

ゴルフにも、宮里藍にも、あまり興味がなかった。でも、安藤幸代アナウンサーというこの本の著者には興味があった。たまにテレビに映るゴルフ中継には必ず映っていて、メインの解説の間に飛び込んでくる短いフィールドレポートをしている人という認識で、なぜこの人はこの道に進んだのだろうという興味があった。

本の内容は、安藤幸代から見た宮里藍についての話と、安藤幸代自信のことが半分ぐらいの割合で書かれているので、宮里藍目当てに読んだ人には物足りないと思う。だけれど、社会に出た一人の女性が、宮里藍とともに年を重ね、仕事に邁進する中で30歳を越えて自問自答していく物語の方が僕には興味深く、共感したり違和感を覚えたりしながら読み進めた。

初めての著書と言うこともあり、表現は浅い。ただ、その木訥な表現を読み重ねていくと、不思議と著者の視点に自分の視点が重なっていくから不思議。レポーターという仕事もいいけれど、こうやって時々文章という形でまとめていくことで、レポートの表現もまた豊かになっていくのではないかと、若干偉そうだけど思った。

「最高の涙」は、宮里藍の涙であり、安藤幸代の涙でもある。たぶん、著者は取材対象に入り込みすぎてしまうのだろうと思う。客観的な視点をあまり求めず、自分自身の主観的な視点で、自分と対象者を同化したようなレポートや文章になっている。それがいいのか悪いのかはよく分からないけれど、一読者としてはもう少し読んでみたい気になった。

不毛地帯

2010/03/25(Thu) Book



「わしは石油の功績が誰にあるの、何のと云ってぇへん、ただあんたに拾うて貰ったはずの男が、誰の力もかりず、猫の首に鈴をつける役をやってのけたその度胸で、勝負はあったといっとるのや。」

全5巻を3日かけて読了。白い巨塔の2,131ページ、沈まぬ太陽の2,320ページを超える、3,011ページにわたる約30年の物語。今まで読んだ本の中で一番長いかもしれない。シリアスな場面や慟哭する場面はこの前終わったドラマの演出が、各登場人物の気持ちの動きは小説の描写の方がよい。ドラマのまとめ方というかはしょり方にも、納得。

冒頭に引用したのは、近畿商事の社長大門一三が、副社長まで上り詰めた壱岐正から勇退を迫られ悩み、長年のライバルであり戦友でもある既に引退した中京紡績元社長の鬼頭勘助に相談した時に言われた言葉。この言葉が出てくるのは5巻をまだ100ページほど残している所だけれど、この言葉でこの3,000ページを超える物語の幕が下りたように感じた。

モデルとなったと言われる瀬島龍三にも興味がわき、だいぶん前に放送された平成日本のよふけも見た。本人が小説とほぼ同じ内容を自身の経歴として話していた。それを見ていて、小説では感じなかったけれど、不毛地帯は壹岐正という元大本営参謀、平成日本のよふけは瀬島龍三という元大本営参謀という比較的高い地位の人から見た戦争観・歴史観なのだなということを思った。

小説の中で壹岐正は「戦争はしてはならぬ。するからには勝たねばならぬ。」と言い、瀬島龍三は番組の中で「自衛の戦争であった。」という。それはある意味両方正しいと思うけれど、招集された人には招集された人の戦争観があり、夫を戦地に見送った妻には妻としての戦争観があり、それはそれでまた正しく、総合的に一つの戦争観を導き出すことは出来ないし、しても統合の課程で様々なものがそぎ落とされて意味がないし、強引にやろうとすれば負けたという事実だけになるのではないか。しかし一番空しい事は、全く戦争に関わっていない後生の世代が、過去の戦争の意味づけを勝手にしてしまうことなのではないかと感じた。

27歳。

2010/03/16(Tue) Diary

27歳になりました。前日はなんだかもやもやとした思いがいろいろとあったものの、なってみるとあんまり考えることもなく。目の前のことに忙殺されず、理想をきちんと見据え、周りの人に支えてもらっていることに感謝しながら、不安や周りの雑音に惑わされずに、自分が正しいと思う事を、やるべき事を、きちんとやるのみです。例年に比べると短いですが、このへんで。

サイバーエージェント流 成長するしかけ

2010/03/08(Mon) Book

 サイバーエージェント流 成長するしかけ 表紙
サイバーエージェント流 成長するしかけ
曽山 哲人 (著), 藤田 晋 (監修)

マネージャーの仕事は「組織の成果を出すこと」。

社内の人事制度が、殆ど全て書いてある。裏表全部は書かれていないけれど、素直に書いてある。組織としてのサイバーエージェントは、ディフェンスが強い会社という感じがしている。撤退基準を明文化して実行に移すとか、法務財務がしっかりしているとか。某車のコピー(?)ではないけれど、きっちり守られているからこそ安心して攻められるというか。

勝てる市場で勝負する事、閉め会、ヨミ会など、福井に戻っても一人で無意識に実践中。そして、事業をきちんとビジネスとして成立させることの大切さも、痛いほど学ばせていただきました。組織として、これからもさらなる成長を。

小さなチーム、大きな仕事

2010/03/07(Sun) Book

小さなチーム、大きな仕事―37シグナルズ成功の法則 表紙
小さなチーム、大きな仕事
37シグナルズ成功の法則

身軽であるというアイデアを受け入れよう。今このとき、あなたは最も小さく、もっとも無駄がなく、最も速い。ここからだんだん鈍重になっていく。そしてものごとが身軽ではなくなるにつれ、方向を変えるのにより大きなエネルギーが必要になる。ビジネスの世界でも、物理の世界とおなじだ。

チームマネジメントの本という印象で買って読んだら、もちろんその部分もあるけれど、大部分は個人の働き方について。プロダクトを作っている会社なので僕の仕事に活かせるのだろうかと思いながら読んでいたが、自分がやっていることの確認にもなり、新しい示唆もあった。

WCAF Seminar Vol.3 開催します。

2010/03/03(Wed) Diary

いわごろが代表をさせてもらっているWCAF(ウェブ・クリエーターズ・アソシエーション・福井)。Vol.1、Vol.2と単体でのイベントを開催した後は、去年11月のCSS Nite、今年1月のWeb・IT技術者大交流会と他のイベントに乗っからせてもらって活動していたのですが、久しぶりに単体でのイベントを開催します。

今回は、デザイナーとエンジニア、二つの視点でのセッションを行います。デザイナー側は、グラフィックからウェブまで手がけるヒュージの中村さん。エンジニア側はRIAの分野を追いかけている伊藤さんです。

詳細は、下記のような感じです。

◎WCAF Seminar Vol.3のご案内

日時:2010年3月20日(土) 13:30開始(13:00〜受付)〜17:00終了(交流会込)
場所:AOSSA 607研修室
内容:
・ごあいさつ(5分)

【セッション1】
・『コミュニケーションの視点から考える
Graphic designerのweb design』(45分)
Graphic designとWeb designを行き来しながら日々仕事で考えている事。コミュニケーションの視点から考える双方媒体の得手不得手や、現場から見る違い、クライアントに関わる時に必要なデザインという考え方を1つの案件を追いながらお話しします。

スピーカー:中村 文信(株式會社 ヒュージ)
中村文信
ブランド構築からコンサルティングまでデザインというフィールドで幅広く活動しているデザイン会社「株式會社ヒュージ」所属。良いデザインで世の中を良くするという考えの基にグラフィックデザインとウェブデザインを中心に手がけている。また実験サイトの設立など、個人としても精力的に活動中。

【セッション2】
・『ぎゅ〜っと濃縮、HTML5』(45分)

開発者の視点から、現在仕様策定中のWeb標準技術であるHTML5、JavaScript APIについて紹介します。新たに追加される要素群、アプリケーションプラットフォームとして重要な機能を担うGeolocation、Web Workers、Web Storage、Data Cache API…etcまで、デモを交えて解説します。HTML5を使うためのTipsも。

スピーカー:伊藤 祥 / shoito
伊藤祥
福井で働くソフトウェアエンジニア、Flex(Flash)を使ったWebアプリケーションやソフトウェア設計ツールの開発をしている。RIAの分野に興味津々、デザイン/開発スキルを兼ね備えた二刀流エンジニアを目指している。HTML5-FITという北陸のコミュニティを主催。

・交流会(60分)
交流会セミナーと同じ部屋で、
ノンアルコールでお菓子をつまみながら情報交換など。

参加費:500円(場所代とおかし代)

定 員:30名

申 込:申込フォームからお申し込み下さい。

興味のある方はご参加くださいませ。

年の瀬に。

2009/12/31(Thu) Diary

今年は、とにかく仕事のことばかり考えていた一年だったように思う。年明けに今の会社に入ってちょうど1年たって、会社から求められること、やりやすいこと、やりにくいこと、数名のスタッフの中での自分の立ち位置みたいなものが、1年かけてようやくつかめたという感じ。それはおそらく、会社も同じだったのではないかと、勝手に思う。

実感としては、思ったよりもハードだなという事。それは決してネガティブな意味ではなくて、同じ規模の会社なら福井で転職しようとは思わないし、今の会社を去るとしたら、会社からもう必要ないと言われるか、一人になりたいと思うか、またもっと大きな会社で働きたいと思うようになった時のような、違う働き方をしたいと思った時ぐらいではないかと思う。先のことは分かんないけれど。

常に頭にあるのは、今の会社でどう働いていこうかと言うこと。それは、自分が何が出来、何をしたくて、何が出来なくて、クライアントが何を求め、競合が何が出来、何が出来ないかを見極め、会社から求められる事にどう答えるかという事。それに加えて、最近は時流というか、今後社会や福井がどう変わっていくのか、ということも考えるようになった。

他のメンバーは福井で10年近く仕事をしている人たち。僕も仕事は10年近くやっているけれど、福井で仕事をするのは今年から。その人たちと並べられて同じスピードで、いや若いんだからその人たち以上に早く走れと言われるのは、なかなかハードな事。特に人生経験や人脈の面で。でもまぁ、そんな歳になったのかもしれない。でも、来年は、同年代の仲間ともっと出会えたり深くつながっていきたいと思う。

今年お世話になった皆様、ありがとうございました。
来年が、今年よりもいい年でありますように。

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